約 1,837,673 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/330.html
獲物の旅 ◆VvWRRU0SzU 無人の空をバルキリー――VF-22Sが往く。 胸の中には言葉にできない想いが渦巻いている。だが、それを吐き出す相手がいない。 カミーユ・ビダンは一人だった。 思えばここに来てから一人でいることは少なかった。 最初に遭遇した人物はひどく好戦的で、追い詰められたところをゼクス・マーキスに助けられた。 その後マサキ、カズイと出会い、ブンドルという男とすれ違い。 そしてベガと、ユーゼスと、そしてキョウスケと巡り逢った。 信頼していたクワトロ――否、シャア・アズナブルももういない。 孤立無援の状況で、それでも少年は諦めてはいなかった。 キョウスケから託された役目を果たすこと。ユーゼスやアキトといった戦いを拡げるものを討つこと。そして生きて帰ることを。 しかしそんな意気込みとは裏腹に、心身に蓄積した疲労は無視できないものだった。 殺し合いという常ならぬ事態の空気が、戦闘の緊張が、過大なストレスが。重しとなって体を蝕む。 基地を離脱した時からフルスロットルでバルキリーを操縦し続けていたカミーユの意識は限界に達しようとしていた。 目に入っているはずの計器が示す数値を認識できない。ガクンと、震動。 ジェネレーターが過熱、機体保持のためAIがリミッターをかけ出力が一気に落ちる。 立て直そうとした時には既に遅く、VF-22Sは森林地帯へと落下していった。 震える視界の中、全力で逆噴射をかける。 衝撃。 減速は成功したようだ。地表に落着、勢いのままに木々をなぎ倒すVF-22S。 シェイカーのように攪拌されたそのコックピットで、カミーユの意識は既になく。 森は再び、静寂で満たされた。 □ 「あー、お腹空いたなー。もうお昼ご飯の時間かぁ……。ナデシコに行けば食べるものあるかなぁ」 G-3、森林地帯。 オルバを生贄に捧げ基地からまんまと脱出したフェステニア・ミューズはナデシコと合流すべく一路北へ急いでいた。 思い出す、あの狂った男。あんな危険人物が基地にいることは予想外だったが、おかげで労せずオルバ・フロストを始末できた。 当面の障害を排除できたとはいえ、優勝を達成するにはあの男をも排除する必要がある。 だが、一度戦った手ごたえからして、あの男は強い。本来自分が戦闘に向いてはいないということを差し引いても、単機では勝てる気がしない。 命などいらないと思わせる高速機動、空を覆うほど強大なディバリウムの攻撃を耐え抜く装甲。そしてこのベルゲルミルを遥かに超える再生能力。 あれを排除するためにも、ナデシコとの合流は急務。だが、彼らはオルバがいないことを疑問に思うだろう。 唯一こちらを疑っているかもしれないシャギア・フロストの存在が気がかりだが、言いくるめる案はあった。 このベルゲルミルの損傷を見れば、エネルギー兵装しか持たないディバリウム、つまりオルバとテニアが戦ったわけではないというのはすぐにわかる。 基地にとんでもない化け物がいる。オルバはテニアを逃がすために基地に残った。 まだ生きているはず、助けに行くべきだ――そんなシナリオを思い描く。 兜甲児と宇都宮比瑪は賛同するだろう。あの二人は単純というか、助けを求める手を振り払えないタイプだ。 シャギアとて弟の生死が不明であるならどうあっても助けに行こうとするだろう。 ロジャー・スミスに騙し討ちされたというのも考えた。 だが、もし実際に立ち会えばテニアはあの弁の立つ男にあっさりと論破され、窮地に陥ることは想像に難くない。 その点、あの狂った男なら問題ない。釈明どころか、そもそも話が通じないのだから。 ひとまずの方針をまとめ、周辺を見回す。 狙撃を警戒して低空を飛んでいるものの、この辺りに人はいないように思える。 これならスピードを出しても問題ないと判断し、上昇。 出力を上げようとしたところで、緑のカーペットが尾を引くように無残に引き裂かれているのが目に入った。 どうやら何かが墜落したらしい。ここで戦闘があったのだろうかと、テニアはベルゲルミルをその墜落現場まで移動させた。 「……嘘。嘘だ。どうして……」 そこに鎮座するはVF-22S・Sボーゲル2F。人類が銀河にまで生活圏を広げた世界で、とある天才が駆った最新鋭機。 見覚えがある。そう、この手で殺した親友、カティア・グリニャールに支給された機体。 そういえば破壊してはいなかったのだ。放置されていたそれを発見した誰かが使ってもおかしくはない――なら、誰が乗っている? まさか、と顔が強張る。まさかカティアが? 彼女の名前は放送で呼ばれた。そんなはずはない、有り得ないと必死に自分に言い聞かせる。 VF-22Sに動きはない。墜落したと思わしき現場の状況から、おそらく気絶しているのだろう。あるいは、機体を捨てたか。 パイロットが乗っているのか、それとも無人なのかはこの位置からでは分からない。もっと接近しなければ。 これが違う機体であったなら、テニアは深く考えずに破壊しただろう。 だが、もし彼女が、カティアが生きているのだとしたら。撃てばもう一度、彼女を殺すことになる。 覚悟は決めたとはいえ辛くないわけはない。どんなときもメルアと三人、支え合って生きてきた大切な友達――家族だったのだから。 だから、確認しよう。テニアはそう決めた。 誰が乗っているか確認して、知らない誰かだったら利用する。知っている誰かだったら殺す。 そしてもし、乗っているのがカティアだったら―― やっぱり、もう一度殺そう。 結論から言えば、パイロットはカティアではなかった。 コンソールに突っ伏すように気を失っていたのは見知らぬ少年だった。おそらく、統夜と同年代。 外傷は特にないことから、地面に激突した衝撃で気絶したのだろうとテニアは推測した。 とりあえずコックピットから下ろし、横たえる。念のため少年のズボンからベルトを引き抜き、両手をきつく縛る。 次に支給された水を取りだし、蓋を開け豪快に少年の顔にぶちまけた。 「……ッ、ううっ……」 呻き声とともに、少年がよろよろと身を起こす。 軽く頭を振り、濡れた顔を拭こうとして、拘束された腕に気付く。 黙ってそれを見ていたテニアは、どこか安心したような、それでいて淋しいような気持ちを隠して話しかける。 「気がついた?」 「……ありがとうございます、テニアさん。助かりました」 「テニアでいいよ。カミーユ、か。女の子みたいな名前だね」 目覚めた少年と自己紹介を交わす。 テニアの言葉に少年――カミーユは軽く眉を顰めたが、それには触れず固められた腕を掲げる。 「警戒するのはわかるが、俺は戦いに乗っていない。これを解いてほしいんだが」 「そんなこと口で言われても信用なんかできないよ。アタシの質問に答えてくれたら考えてあげる」 カミーユはテニアを睨みつけるも、息をついて先を促す。ひとまず主導権は握れたようだ。 「わかった。何を聞きたいんだ?」 「とりあえず、そうだね。今まで会った人のことかな。あと、仲間がいるかどうか」 テニアにカミーユとの面識はなかったが、知り合いの中には接点を持った者がいるのかもしれない。 カミーユは存外素直に喋りだした。 「…アタシの知っている人はいないね。仲間もいない、か」 羅列された名前の中にはテニアの知る名はない。そして大半が既に死亡、残りは戦いに乗っている。 苦い顔で呟かれたユーゼスとアキトという名の男のことは注意を払う必要がある。 どうやら彼はナデシコやJアークといった集団のことも知らないようだ。 「じゃあ、次は君の番だ。俺は仲間を集めたいんだが……そう、集団になっている人達を知らないか? Mr.ネゴシエイターと呼ばれていた人のことでもいい」 「……知らない。アタシが会った人は、もうみんな死んじゃったから」 (こいつもロジャー・スミスか。どこまでアタシを苦しめるのよ、あのカラス野郎……) またもあの交渉人の名を聞き、イラつきが胸を満たす。 Jアークの面々はテニアを警戒しているだろう。 ロジャーとて先の交渉の場では中立を宣言していたが、それとてこちらを安心させるためのブラフに思える。 あいつは今この瞬間にも、テニアの悪評を振れ回っているかもしれないのだ。 この少年とロジャーを接触させるのは危険だと、カミーユを殺そうと決める。 基地の男を倒すには人手はあった方がいいのはわかっている。それでも、テニアはここでカミーユを逃がす気はなかった。 (アタシにカティアを思い出させたんだ。その機体といっしょに、跡形もなく粉々にしてやる) 腕を縛ったとはいえ、体格で勝るカミーユと素手でやり合って勝てるとは思えない。まして、おそらく警戒されているだろうから。 なら、安心させて背中から撃つ。 信頼した相手に撃たれる絶望はどれほどのものだろうか。カティアを殺した自分には、ためらう理由になどなり得ないが。 カミーユの腕を解放する。彼は腕をさすりながら、 「ありがとう。……ところで、他に聞きたいことがある。さっき仲間が死んだって言ったが、危険人物に心当たりがあるなら教えてくれないか?」 と言った。すぐに殺すのだから意味はないと思ったが、鬱憤を吐き出す捌け口にはなると思い直す。 「……Jアークって言う戦艦。キラってやつとソシエってやつ。あいつら、最初は協力しようって言ってきて、でも……騙されて、武蔵っていう仲間が殺されたんだ」 「戦艦? そんな強い力を持ってるのに、どうして……くそっ!」 吐き捨てるカミーユの顔には確かな怒りがあった。 さっきの情報交換の時の様子からして、カミーユは戦いに乗った者を積極的に倒そうとしているらしい。 利用したいところではあったが、この分ではテニアの行いを知れば即座に銃を向けてくるだろう。 「それに、基地だね。なんかとんでもない化け物がいて、仲間が……殺されたんだ」 それを聞いたカミーユの顔から一切の表情が消え、「そうか」とだけ言った。 この反応は気になったものの、そろそろ移動しなければナデシコと合流し損なう。話を切り上げ、ベルゲルミルへと足を向ける。 「テニア。俺と一緒に行かないか?」 「うん、こっちからお願いするよ、カミーユ」 うまくいった、と吊り上がりそうになる口元を押さえた。カミーユがVF-22Sに乗り込むのを見届け、ベルゲルミルへと戻る。 やがてVF-22Sとベルゲルミルが浮上する。 片腕のないことを理由に、カミーユに先行してもらう旨を告げた。あとは隙を見て撃つだけだ。 10分ほど北へ向かって飛んだところで、そろそろかな、と機を見計らう。 この10分の間、VF-22Sに特にこちらを警戒するそぶりは見られなかった。今なら容易く破壊できる自信がある。 マシンナリーライフル、シックス・スレイヴをスタンバイ。初撃を外してもカバーできるように―― 「ところでテニア」 どのように撃てば確実かと悩んでいたところで、通信。ずっと黙っていたのになんてタイミングの悪い、と舌打ちする。 「……何?」 「さっき、聞き忘れたことがあったんだ」 声色は特に不審なところはない。落ち着いている……いや、穏やか過ぎる? 「今までに会った人物はみんな死んだんだよな?」 「そう、だけど。何かおかしい?」 「いや、それ自体は別に。ただ、気になるんだ……どうして、君がこのバルキリーのものと同じガンポッドを持っているのかが、さ」 言われ、腰のアタッチメントに繋がったままの銃の存在を思い出す。さっき飛び立つときに見られていたのだろう。 迂闊だった! 左腕を落とされて使わなくなったから、すっかりこれのことを忘れていた! 頭をフル回転させる。これはまだ致命的なミスじゃない、どうにでも言い繕うことはできる……! 「あ、アタシはその機体を見たことがあったんだ。そのときは誰も乗ってなかったけど、そう、だからこれを借りたんだよ!」 「なんだ、そうか。いや、これを見つけたときに一緒にいた……やつが、変なことを言ってたんだ」 息を呑んだ。まずい、何かとてもヤバい。あの時見られていた訳はないが、それでもこれ以上言わせてはいけない気がする。 焦るテニアに構わずカミーユは続ける。 「この機体は無傷で放置されていた。スペックは大したものだ、これを捨てるなんてとんでもない。 俺は仲間の機体に同乗したんじゃないかって言ったんだが、そいつはこう言った。 『元々この機体を支給された人は、協力を持ちかけてきた仲間に裏切られたんだろう』って。 見せしめに殺された女の人と、きょ……多分、その恋人だった男性がいただろう。 つまり元々知り合いだった人たちが連れてこられているってこともあるんだ。もし被害者と加害者がそんな関係だったら、信用するのも当たり前だよな」 「か、カミーユ、あのさ、」 「そう言えばテニア。俺、あそこでお前を見た覚えがあるんだ。 主催者に喰ってかかって、隣にいた金髪の女の子に止められたよな。その子もお前をテニアって呼んでた」 VF-22Sが一瞬にして反転。そして人型に変形する。 そうと気づいた時には既に、撃つ隙はなくなっていた。 「ああ、そうそう。この機体の近くには墓があって、女の子が埋められていたそうなんだ。 それも、頭を潰された状態で。たぶん機動兵器の手で握り潰されたんだろう」 さざ波のように穏やかだった声は、いつしか冷たい刃のように感じられた。それが首筋に当てられている―― 「その子がパイロットだったんだろうな。首輪もなかったんだから、そのために殺したんだろう。 惨いことをするやつがいる。許せない……許さない、絶対に」 淡々と呟かれる声。もはや口を挟めないほど、目の前の少年の放つプレッシャーは膨れ上がっている。 「なあ、テニア」 「……な、何よ」 「どうしてなんだろうな。どうして、 お 前 の 機 体 の 指 に は 、血 が つ い て い る ん だ?」 ……絶叫とともに、トリガーを引いた。 放たれた光弾。だがVF-22Sはそれを予測していたかのように易々と回避し、流れるような動きで携えていた長大なライフルを構えた。 ライフルが発射される前にシックス・スレイヴを解き放つ。 別々の軌道を描く六つの勾玉。VF-22Sの予測されうる回避コースを塞ぐように展開したそれを―― すべて、撃墜された。 VF-22Sがライフルを引き戻し、代わりにガンポッドを構えた。 スレイヴが取り囲んだと思った瞬間、VF-22Sは上半身を折り畳んだ。戦闘機に足が生えたようなシルエット。 そして全方位から迫る勾玉を、似たものと戦った経験でもあるのか慣れた様子で次々とかわしていく。 通り過ぎたスレイヴがもう一度仕掛けるべく反転する。その動きを止まった一瞬を見計らったように、VF-22Sが独楽のように激しく回転した。 その状態から火線が奔る。銃弾は吸い込まれるように全てのスレイヴへと命中、爆散させた。 あんな回転の中でも一つとして狙いを外さない。ヤバい、こいつの腕は本物だ。 拡がる爆風の中を、人型でもさっきの異形でもないものが突き抜けてきた。 戦闘機。変形に要する時間が短すぎる! 急速に接近してくるVF-22S。消し飛ぶように彼我の距離が縮まる。 テニアは恐慌を来たし、自分でもよく聞き取れない声を吐き出しつつ機体を後退させる。 マシンセルを散布することも忘れない。胴体の再生は遅れるが、そんなことを考えていられる状況ではない。 VF-22Sは霧のようなナノマシンに突入する手前で足を振り出し急停止した。 突っ込んでいればそれなりのダメージはあっただろうに、尋常じゃない勘働きだ。 しかし僅かとは言え時間は稼げた。少しでも重量を減らすためガンポッドを投棄し、全速で離脱を試みる。 急速に敵機との差が開く――追って来ない? 理由はどうあれチャンスだ。テニアは脇目も振らず逃走を開始した。 強烈なGに耐えながら20分ほど全速で飛び続け、森林を抜けたあたりで追随する機影はなく。振り切れたと確信して機体を止めた。 息をつくと同時に、一気に吐き気が込み上げてきた。長時間の全速移動だけでなく、先の戦闘のプレッシャーのせいもあるだろう。 テニアは機体を手頃な岩山の陰に隠し、転げ落ちるようにコックピットから出る。 地面に四つん這いになり、吐いた。 朝食を摂ったのは4時間ほど前だ。大喰らいなテニアの胃は優秀なのかほぼ消化を終えていて、固形物の代わりに胃液だけが出た。 酸っぱい味が口腔を満たし、鼻の奥がひきつる。気持ち悪さだけが加速する。 吐瀉物で濡れた地面がとても汚く見えて、目を逸らす。2分ほどうずくまって、ようやく吐き気が治まり顔を上げた。 鏡を見たらさぞげっそりしているんだろうな、と思った。 水で口を洗い、気分が落ち着いてきたのでベルゲルミルへ戻る。 まず損傷をチェックしなければ。頬を叩き無理やりにでも気合を入れる。 ガンポッドの損失はさほど問題ではない。どうせ片腕がないのでは使えないのだから。 それよりも、シックス・スレイヴが撃墜されたのは痛い。機体の修復を後回しにしてマシンセルを集中させる。 まともに戦えないのでは動く事も危険だ。まずはどうにか自衛できるレベルまで、機体を修復させる。 ナデシコとの合流は遅れるが、ここはもう北東の4ブロックにほど近い。待っていれば向こうから来てくれるかもしれない。 一通りの設定を終えて、これからどうすべきかを考える。 カミーユを殺すつもりが、秘密を看破され逆に尻尾を巻いて逃げ去る始末。 これでテニアが確実に戦いに乗っていることどころか、親友を手にかけてまで優勝しようとする外道だということまで知られてしまった。 カミーユがこの先誰かと接触すれば、そこから噂はどこまでも広がるだろう。 邪魔なオルバを排除できて、ナデシコを利用して。すべてが上手くいっていたのに、今や追い詰められているのはテニアだ。 狩る側から、狩られる側へ。今生き残っている者全員が、テニアを追いたてる―― 「嫌だ……嫌だッ! アタシは生きて帰るんだ! こんなところで死にたくなんかないッ!」 恐怖が重い泥のように絡みついてくる。こうなっては、もはや一人でいることは逆に危険だ。 思いつくのはやはりナデシコの威容、兜甲児や宇都宮比瑪の顔。彼らなら自分の盾になってくれるはずだ。 彼らをどうにかしてJアークやカミーユ、そしてガウルンといった敵と潰し合わせる。 できるかどうかではなく、やらなければこの先生きのこれない。 想いを寄せる少年、統夜。彼もまだ生き残っている。彼がカミーユと接触する前に会い、事情を隠して取り入らねばならない。 身も知らぬ少年の言葉と、共に戦ったテニアの言うこと。さすがに疑われはしないだろう。 急がなければ。自らを囲う鎖が完全にこの身の自由を奪う前に、逆転の一手を打たねば―― 焦るテニアの思いに応えることなく、マシンセルの修復は遅々としたものだった。 【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル) パイロット状況:疲労 激しい焦燥 機体状況:左腕喪失、左脇腹に浅い抉れ(修復中) 、シックス・スレイヴ損失(修復中) EN40%、EN回復中、マニピュレーターに血が微かについている 現在位置:G-3 北部 第一行動方針:ナデシコの面々に取り入り、敵を排除し尽くした後に裏切る 第二行動方針:統夜との接触、利用の後殺害 第三行動方針:参加者の殺害(自分に害をなす危険人物、及び技術者を優先) 最終行動方針:優勝 備考1:甲児・比瑪・シャギア、いずれ殺す気です 備考2:首輪を所持しています】 □ 「……撤退したか」 レーダーの中、急速に遠ざかっていくベルゲルミルの反応を目で追いつつカミーユは息を吐いた。 危なかった。あの様子ではやはりこちらを殺そうとしていたのだろう。 気づくのがもう少し遅ければ、カミーユはVF-22Sとともにこの世界から消え去っていたはずだ。 ユーゼスの言っていたことは悔しいが正しかった。テニアの機体ベルゲルミルは、20m前後の機体、あの忠告とも一致する。 この機体の近くに埋葬されていた遺体の頭部が潰されていた、という情報を思い出し。 それとなくベルゲルミルの指を確認してみればまさに動かぬ証拠があった。 ただ、それだけでは確実とは言い難い。彼女がやったのではなく、彼女の前に乗っていた者がやった。 ユーゼスのように口の回る者ならそんな風に切り抜けただろう。 だからこそ、こちらが疑っているという事実を突きつけ対応を見た。すると予想通り攻撃してきた、黒だというのは確定だ。 ここで仕留めたいところではあったものの、敵機のファンネルと思しきものの迎撃でVF-22Sの残り僅かだった弾薬・エネルギーはほぼ枯渇した。 オクスタン・ライフルはまだ使用できるものの、敵機もまた余力を隠していたようだ。 あの霧のようなもの。構わず突入しようとした瞬間、唐突に悪寒を感じ無意識に機体を止めていた。 この世界にはモビルスーツの概念を遥かに超えた未知のテクノロジーが散乱している。あれもまた、そういったものの一部だったのかもしれない。 カミーユは追わなかったのではなく、追えなかったのだ。現状では倒し切れる保証がなかったから。 ともあれ、有益なこともあった。 気絶した自分を起こしてくれたこと。気を失っていたのは数時間であろうが、それでも少し気分は楽になった。 情報。彼女のもたらした情報は、どこまで信用できたものか。 Jアークという戦艦。キラ・ヤマト、ソシエ・ハイム。彼らが本当に戦いに乗っているかは分からないが、とりあえず警戒するに越したことはないだろう。 そして、基地だ。彼女の言う化け物……これの真偽については考えるまでもない。キョウスケ・ナンブ、アインストとなった男のことだろう。 やはりあの人は変わってしまったのだ。忌むべき主催者、その同族として。 歯を食い縛る。 倒さなければならない。これ以上誰かが犠牲になる前に、他ならぬカミーユが、この手で。 ベルゲルミルが放置していったガンポッドを回収し、針路を思案する。まずは補給をしなければ。 この機体が熱核タービンエンジンという、大気圏では燃料を必要とせずに航行できる機体で助かった。道すがら補給ポイントがあればいいのだが。 テニアは北へ逃げた。追撃は現時点では考慮の外。 南は当然、ない。基地へ向かうのは協力者が集まってからだ。 あとは東か西かだが、東に行って光の壁を通過し地図の反対側に出ても、その辺りにさしたる施設はない。 ならここから西。地図の中央、廃墟の都市に向かう。 誰かがいるかもしれない場所としては、森や山岳地帯よりは希望が持てる。 カミーユが接触し、今だ生き残っていて戦いに乗っていない者は……マサキとブンドルだ。 他には、最初の場所で主催者に真っ向から対立する姿勢を示していた黒スーツの交渉人。 できれば彼らと接触したいところだが、まだ生き残っているだろうか? シャアの名が呼ばれたことに動揺し、放送を聞き逃したことが悔やまれる。 気がかりといえばもう一つ、禁止エリアだ。これまた聞き逃してしまっている。そうと知らずに突っ込んでしまっては目も当てられない。 とはいえ、機動兵器を扱う戦いを演出する以上、その戦闘の激しさから望まず禁止エリアを超えてしまうこともあるだろう。 そんなときのために、エリア侵入即爆発ということはないはずだ。警告機能くらいは備えているだろう。 エリアとエリアの境界を沿うように飛び、警告が聞こえてきたら隣のエリアに退避する。 もし禁止エリアが隣接していたら……お手上げだが、広く参加者が散らばる戦場でそんな不効率なことはしないだろう。 方針を決め、カミーユはVF-22Sを発進させる。 飛ぶように流れていく景色の中。しばらくは神経を擦り減らすことになるな、と嘆息した。 「せっかく休めたのに、また疲れるじゃないか……」 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルⅡ(マクロス7) パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。精神が極度に不安定 機体状況:オクスタン・ライフル所持 反応弾-残弾0 EN残量・火器群残弾ともに5% ガンポッド二挺所持 現在位置:F-4 第一行動方針:対主催戦力と接触し、仲間を集める (ロジャー・マサキ・ブンドル優先。Jアークは警戒) 第二行動方針:ユーゼス、アキト、キョウスケを「撃ち貫く」 第三行動方針:遭遇すればテニアを討つ 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能】 【二日目 10 20】 BACK NEXT 交錯線 投下順 獣の時間 風と雷 時系列順 変わりゆくもの BACK 登場キャラ NEXT すべて、撃ち貫くのみ カミーユ 獣の時間 生き残る罪 テニア Lonely Soldier Boys &girls
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/366.html
life goes on ◆XrXin1oFz6 Jアークの小さな医務室のベッドで、シャギア・フロストは2時間ほど前に流れた放送を思い返していた。 放送と同時に配布された名簿を見て、彼は小さく息を吐く。 分かっていた。分かっていたことだが、その分かっていたことがとても重い。 オルバ、比瑪、ガロード――死したものが読み上げられる以上、放送名前が呼ばれるのも、この名簿に名がないのも当然だ。 だが、あのどこまでも自分たちの策謀を打ち砕き立ち塞がった少年、ガロード・ランならと小さく思ってしまったのも事実。 随分と弱気になったものだと自嘲する。 この世界に来る前ならば、おそらくこんなことを考えることもなかっただろう。 医務室から覗く窓の外では、機動兵器たちが落ちたパーツを回収している。 この二時間で、事態は大きく変わりつつあった。 話に聞くと、 騎士凰牙の腕は修繕できるとか、 マシンセルという特殊なナノマシン入りの腕が回収されたとか、 パーツの具合でもしかしたらストレーガとガナドゥールの再合体が可能になるかもしれないとか。 マテリアル的な話だけではない。 あのインベーダーたちの登場から続くさまざまな事態の急変。 もはやこのバトル・ロワイアルという形式を取ったデスゲームもまた崩壊しつつある。 終わりは、近い。 どんな結末になろうと次の放送はないだろうとシャギアは意識した。 ベッドから降りて、シャギアは立ち上がる。 適切な治療が施され、二時間以上ばかり休ませてもらった以上、身体的な疲れはもうそれほどではなかった。 寝ている熱気バサラ――そう言えば、ナデシコでも気絶していなかったか?――の横を抜け、医務室から出る。 医務室の外も、相変わらずの静寂だ。 おそらく医務室や解析器具のある中枢部などに人手を回すので精一杯なのだろう。 随分甘いことだとシャギアは小さく笑う。 自分が殺し合いに乗ってないという論拠など、どこにもない。 それにも関わらず、よくも自分を野放しにできたものだ。 今自分が銃器などを持って中枢などを強襲すれば、どれだけ被害が出るか、分からないわけでもないだろうに。 ギリ、と奥歯を噛み合せるシャギア。 奴らは、信じているのだろう。シャギアではなく、ガロードを。そして自分のニュータイプとしての感性を。 そして、ガロードが託したシャギア・フロストという人間が牙を剥くことはないだろうと思い込んでいる。 ガロード・ランの遺言まがいの言葉など知ったことかとシャギアは思う。 勝手に押し付け、消えていった相手の都合を聞き届ける理由はない。 ここに来て、紆余曲折あって自分が随分と曲がってしまった。 それを、シャギアは自覚する。 まして、ニュータイプと手を組もうなどど――― シャギアの意識は、一時間半前にまで飛ぶ。 ◆ ■ ◆ 中枢で、マシンセルとトモロの回線をつなげ、アムロは携帯用の端末を叩いていた。 周りには、カミーユとキラもおり、キラはどうやら別の角度から解析をしているようだ。 『医務室を出たようだ』 トモロが事務的な口調で三人に告げる。 同時に展開されたウィンドウには、シャギア・フロストの姿があった。 「あの……本当に協力してくれるんでしょうか?」 キラが、おずおずとアムロに聞く。 『なんらかの敵害行動に出ようとした場合、隔壁を下ろして隔離する』 「トモロ、そういうことじゃなくて……!」 アムロは、少し考えてからキラの言葉に応じる。 「よくわからない。だが……協力してくれると信じるさ」 ニュータイプは万能なんかじゃない、人の心の奥まで覗くことなどできないし、やってもいけない。 だから、未来なんて不確かなものは分からない。 アムロはそう考えながらも、思考に陰りがあるのを感じていた。 一時間半前の、医務室での出来事。 ―――「目を覚ましたのか?」 アムロが打ち身などを癒すため、湿布薬を医務室に取りにいった時だった。 ちょうどシャギアが目をさましたのだ。 その時何げない調子でアムロは声をかけた。別に大した意味があったわけでもない。 目覚めたところに出くわした以上、無視するのもおかしいだろう――といった程度のものだ。 シャギアは周囲を見回し、場所と時間を確認すると、ここは何処かと放送の内容について聞いてきた。 アムロも、隠す理由もないため当然答える。 ここがJアークの医務室であること。次の禁止エリアは何処か。 そして、放送で呼ばれた死者も。 シャギアの顔が死者の名を聞き、一気に老けこんだ気がした。 魂が抜けたというべきか。疲れ切り呆けた顔になる。 呼ばれた名前には「オルバ・フロスト」という名前があった。おそらく、兄弟なのだろう。 いや、それだけではないのかもしれない。 今のシャギアから感じるものは、悲しみではなくどこまでも深い喪失感だ。 「まず、何があったか順番にいこう」 アイビスがちょうど格納庫に行っているタイミングに起きるとは。 自分は、あまり説明には向いてないなと思いながらも説明していく。 そして、同時にシャギアからもあの戦いの発端を話してもらった。 なぜなら、向こう側の乱戦、その全てを知るのはここで寝ていたシャギアとバサラなのだから。 途中からならば分かるが、始まりはなんだったのか。 アムロは、今からやること、今やることを話しながら時々シャギアにも口を開かせ、説明させた。 大まかにアムロ側の説明も終わり、シャギア側もあらかた話し終えたときだった。 アムロは、シャギアに問う。 「ガロードは……最期、何を?」 ガロードが最期に託した男だというのなら、この男はガロードから何を託されたのか。 アムロとしては、ただ純粋に知りたいが故の質問だった。 「ティファ・アディールに、必ず帰ると伝えろ、と言われただけだ。 ……私が、ニュータイプの益になるようなことをすると思っているか。 むしろ逆にニュータイプを私が殺してしまわないかをガロード・ランは気にするべきだった」 僅かに他者へ嘲りと自嘲の混ざった笑いをこぼすシャギアに、アムロは目を見開いた。 「ニュータイプ……?」 アムロは自分の短慮を内心歯噛みした。 ガロードと同じ世界の人間ならニュータイプを知り、 そしてニュータイプに対して何らかの考えを持っている可能性は高い。 今は触れるべきではなかったかもしれない。 しかし、もう踏み出してしまった。なら、もう今更引くのは逆効果だ。 「ニュータイプを知っているのか?」 「その通りだ。我ら兄弟以上にニュータイプのことを知っているものはいない」 我ら兄弟。オルバ・フロストのことだろうか。 アムロの感覚に、ざらりとしたものが混じる。 目の前の男から放たれるのは、先ほどの喪失感を埋め合わせる泥のような何かだった。 「ニュータイプなど、ただの兵器に過ぎん」 絶対の確信。疲れた顔ながら、それが読み取れる。 同時に、深い憎悪も。 「……違う。兵器としか思えない人間がいるからこそ、兵器になるんだ」 しかし、アムロにもニュータイプには確固たる思いがある。 シャギアを見据え、アムロも言った。 「では、人間の革新とでも言うのか? 利用されるしかない無能な存在が?」 「それも違う。ニュータイプは、幻想だ。どんな力があろうと区別はないはずだ。……少なくとも俺はそう思う」 「まるでニュータイプを知るような口ぶりに聞こえるが」 アムロは、いったん区切り、息を吸い込む。 「黒歴史は知っているか?」 「黒歴史……?」 アムロは、ギンガナムから伝え聞いたことをそのまま話した。 ガンダム、ニュータイプ、スペースノイドも、どれも一つなぎの世界であることを。 そして自分がとある時代において、もっとも最初のニュータイプ、『ファースト・ニュータイプ』であることも。 話のスケールに少し呆然としていたが、アムロ自身がニュータイプである下りを聞いた途端、 シャギアの顔が歪んでいく。 「それが、どうした? 自分がニュータイプであることを得意げに話に来たのか?」 「そうじゃない。ただ、ニュータイプに捕らわれないでくれ。 歴史は繰り返している。ニュータイプも、等しくその輪の中にある。何も変わりはしない」 シャギアの、激昂。 泥のような何かが、マグマのように熱い憤怒になるのが即座に分かった。 最悪、こうなることも分かっての行動だったが、それはアムロの予想を超えるほどの怒りだった。 ニュータイプになれなかった――そんな嫉妬など欠片たりとも混ざっていない。 どこまでも純粋な憎悪と憤怒。 ニュータイプというものに対して無関心でもなく、さりとて嫉妬もなく、ただ憎しみだけ。 「我らはニュータイプに捕らわれてなどいない! 我らの手のうちにニュータイプがいるのだ!」 「ニュータイプという概念に縛られていることは、代わり………」 「黙るがいい! 黒歴史は全てがあったのだろう!? なら分かるはずだ、我らがどれだけ不当ないわれを受けたか!」 アムロの返答は沈黙。 ギンガナムからは、全てがつながっているとしか教えられなかった。 目の前の男がいったい何をされたのかはわからない。 だが、それがどうしようもなくシャギアの逆鱗に触れてしまったのは分かる。 「分かるか!? 我ら兄弟はニュータイプなどというありもしない幻想のため存在を抹殺され、ないものにされた! ニュータイプのできそこない、亜種……ただ兵器に順応できないだけでレッテルを張られたのだ! 私ら兄弟間では何よりも強い共感能力があったにも関わらずだ! 劣ることなどないのに劣等種として! ニュータイプとして生きてきたお前のような存在に何が分かる!?」 シャギアが発した最後に言葉が、それだった。 ……… …… 『どうした? 手が動いてないが』 トモロの声ではっとする。 手元の端末の操作が御留守になり、どうやらさっきのことを思い出していたようだ。 (俺は、やっぱりなっちゃいないな……) 人の心など分かるはずもない。 だからどこが踏み込んではいけない領域かもわかるはずもない。 だが、先ほど自分は迂闊に土足で、もっとも踏み込んではいけない部分に踏み込んでしまった。 シャギアも、形はどうであれニュータイプに翻弄された人間の一人なのだ。 ニュータイプと似て非なる力を持つため、ニュータイプしても普通の人間としても扱われない苦しみ。 一体それはどういったものなのか。 しかも、おそらくそれを共有していた兄弟を失ったことへの絶望。 できることなら、解き放たれてほしい。 だが、自分にその資格があるのか。本当に、他者へ何か言う権利があるのか。 傲慢だな、とアムロは少し己を嫌悪した。 自分の価値観の押し付けに過ぎないのかもしれないことを自覚していながら、 自分の価値観を絶対のように言って押し付けようとする自分は、結局変わらないのではないか。 自分こそギンガナムの世界までつながる、人の業の輪の中に捕らわれた存在なのかもしれない。 その時、ブンドルから通信が入った。 「急な話ですまないが、カミーユをこちらに回してもらえないだろうか」 ◆ ■ ◆ アイビスは格納庫の柵に手をあて、その上に顎を乗せていた。 目の前では、ブレンと、蛇の姿をしたデータウェポンがじゃれあっている。 よく考えればどちらも機械にも似た心持つ生き物だ。 趣味があってもおかしくないし、仲間ができたと思っているのかもしれない。 その姿を見てもアイビスの心はいまいち晴れることはない。 原因は医務室に入ろうと思った時中から聞こえてきたあの会話だ。 (劣等種、劣ってる、か……) その言葉を、彼女は理解できる。 『劣等』――ここに来る前、自分につけられた称号だ。 劣っているのは、自分でも訓練の時から分かっていた。 それでも、必ず追いつき夢をかなえると走ってきた。 だが、最期に待っていたのは、墜落と失墜だったのを覚えている。 途中まで確かに希望はあったのだ。 いつか夢にたどり着けると努力する余地があった。 自分が経験した挫折は、結局自分が弱くて再び努力するため、立ち上がれなかっただけ。 シャアや、ブレン。その他多くの人を見て、ここに来てやっとまた学べた。 彼女はまた起き上がれた。 しかし、そのチャンスもなく、努力も無為だとしたらどれだけその人生は辛いのだろう。 生まれ持った力だけで振り分けられ、他人に劣っていると断ぜられる。 ひたすら、挽回のチャンスもなく劣等種としてさげすまれる。 自分は、スレイを憎んだことはなかった。 同じ夢を持つ仲間だと思っていたし、今は無理でもいつかは並んで飛んでみせると信じていたからだ。 だが、もしも自分とシャギアと同じ立場だったらどうだろうか。 いくら努力したって届かないとフィリオからも言われ、味方は誰もいなくて。 実際努力する意味すらなかったら。 仮定の話とは言え、スレイを憎まなかったと胸を張っては言えなかった。 そうなったら自分は――― きっと、ここに来る前のように生きる価値がないと陰鬱になり、命を絶っていたかもしれない。 それを考えればシャギアという人はものすごく強い人間だ。 自分が間違っている、自分が劣っているとは絶対に認めず、 逆に世界が間違っていると立ちあがることなど、自分にはできそうになかった。 「よう、どうしたんだ?」 「コウジ?」 横には、パーツをいじっていたのか油と煤だらけの甲児がいた。 おそらく、ふさぎこんだ顔をしていたのだろう。慌てて手を振り、そんなことないと否定した。 甲児は少し笑ったが、すぐ真顔になってうつむいた。 「シャギアさんの、ことだろ?」 「あ……え、どうして!?」 格納庫にいた甲児が、何故医務室の会話を聞いていたのか。 目を白黒させるアイビスに、そっと甲児は手を差し出した。 そこにあったのは携帯型の端末。 そこで、アイビスも気付く。 「もしかして……全部筒抜けだった?」 悪いことがばれた子供のような様子で、アイビスは甲児に問う。 甲児は頭を掻きつつ「まあな」と一言だけ答えた。 アムロは話す際シャギアに気を使いきちんと端末を切っていたが、 アイビスはいつでも反応できるようにつけっぱなしだったのだ。 つまり、アイビスの端末を通してシャギアの話は全員に伝わっているということだろう。 「知ってるのは、あの時聞いてた人だけだから、俺だけかもしれないし、他にいるのかもしれないな」 どれだけ知ってる人がいるのかはわからないと伝えると、 甲児はアイビスの横の柵に、背を預け天井を見上げた。 「シャギアさんってさー、底抜けに明るいんだぜ?」 突然の甲児の言葉。 アイビスは、その言葉の真意が、いまいちよくわからなかった。 甲児の顔を見上げるアイビスに、照れた様子で今度は頬を掻く甲児。 「いやさ、ずっとナデシコで一緒だったけどさ。 タマゴ焼き取り合って本気で喧嘩したり、一緒にアニメ見て盛り上がって笑ったり…… しかめっ面、見たことなかったよ。いつも自信満々で、みんな励ますようにしてて」 甲児は、アイビスの顔を見ながら、嬉しそうに言った。 シャギアが、アニメを見て拳を振り回してたとか、いきなりブイサイン相手にかましてなごませたとか。 本当にうれしそうに、身振り手振りを混じえ、満面の笑顔で甲児は言う。 その姿がどこか痛々しいと思ってしまうのは、アイビスの思い込みだろうか。 「だからさ、俺シャギアさんのこと、そういう人だと思ってたよ。 首輪の解析とかもできて、みんなを気遣えて、明るくて、挫けなくて……」 尻すぼみに小さくなる甲児の声。 「けど、違ったんだよな。あんな色々抱え込んで、それでもああやって笑ってたんだよな」 甲児の言葉は、さっき聞いたシャギアの言葉からは想像できない。 けれど、アイビスもさきほどのナデシコ直行から、甲児が嘘をつくような相手でないのを分かっている。 きっとその言葉は真実なのだろう。 少し、アイビスはその頃のシャギアが見たいと思ってしまった。 そこまで、立ち上がり続けられるのは何故なのだろう。 「思うけどさ、兄弟だけでもお互い考えてることが分かるってすごいことだよな。 俺もシロウって弟いるけど、なに考えてるかなんかわかりゃしないぜ。 あの人が劣ってるっていうなら俺なんかもうミジンコだよ」 人と違った力を持ってて、人より何をやらせても優秀で、周りも気遣える人のどこが劣等なのか。 甲児だけでない。自分だってそんな人に比べたら劣っている。 なのに、ただニュータイプと違うだけで差別される。そのニュータイプがどれほどのものなのだろう。 カミーユもアムロも、自分たちと何も変わらないように見えるのに。 「立派な人だったんだね」 「ああ、本当にな」 ブレンが、アイビスの横にいつの間にか、いた。 作業用の高い足場から、ブレンの頭をなでると、ブレンは心なしか嬉しそうにした。 蛇のデータウェポンはそれをじーっと見て、どこか拗ねているように見える。 「だからさ、シャギアさんが困ってるなら、こんどは逆に助ける時だと思うんだ」 甲児は、宣言するように拳を握り言った。 アイビスは、ブレンを撫でながら思う。 自分も、いろんな人の助けがあったからこそ、ここまで来れたのはさっきも思ったとおりだ。 なら、今度は自分が他人を助ける番ではないか。 もちろん、自分のことすら満足にできないのは分かってる。 それでも他人のため頑張りたいと願うのは悪いことだろうか。 「誰かの自由や幸せのために闘う」――それはとある時間軸において後々、彼女が語る言葉だ。 そのひな形が、今彼女の心にも灯り始めていた。 「私も手伝うよ」 差し出す手に、甲児は少し驚いたようだった。 だが、甲児も笑い、その手を握り返した。 作業場の高い場所で、二人がこうして握手を交わす。 ◆ ■ ◆ その下で―― 「……若いな」 「しかし、だからこそ美しい。打算の混じらない人の絆とは、どんな形であろうと美しいものだ」 二人のその遥か下、機体の足元に近い場所でブンドルとロジャー、二人の男がやれやれと笑う。 「しかし、注意深さが足りないな。先ほど、同じミスをしたというのにだ」 「若いということは青いということ。それも少しずつ治っていくものだと信じるべきだ」 端末から漏れるアイビスと甲児の声。 そう、アイビスはまたも端末のスイッチを切っていなかったのだ。 もっとも、甲児に指摘されるまでそれに気付かず、つい甲児と話し込む間もそのままだったのだろう。 「……さきほど話した内容。任せてかまわないか?」 ブンドルが顔を引き締め、ロジャーに問う。 ロジャーはゆっくりと大きく横に首を振った。 「残念だが答えはノーだ。私は交渉せず他者を排撃することを認めはしない。……急ぎすぎではないか?」 「いや、今でも遅すぎるくらいだろう。我々は超える壁は厚く、多い。 札を増やさねばおそらく最初の壁すら越えられない」 どこまでも冷静なブンドルに対し、ロジャーの顔には苦いものが混じっていた。 「アムロと君の二人にもしもの……汚れ役を任せることになることを詫びよう。 しかし、若さのままに走り、必要のない場所で散る様を見過ごすのは心苦しい」 気にすることはないとロジャーは答えると、ソシエ嬢に呼ばれ、凰牙のほうへ走っていく。 凰牙の調整はやはり搭乗者本人でなければ微妙な部分があるのだろう。 ブンドルは胸の薔薇を引き抜くと、それを眺める。 しかし、ブンドルが真に見ているのは今この場にあるものの向こう、未来だ。 ブンドルは、ユーゼスが絶対に自分たちを見逃すことはないと直感していた。 相対した瞬間にじみ出る、信頼や真実からほど遠いあの醜い雰囲気。 ブンドルは自分の美学に基づく予感だけは疑わない。二度目の遭遇で、それを確信していた。 このまま行けば、体よく駒として擦り減り切るまで使い捨てられるか、キョウスケのように殺されるか。 もっとも、結果としてキョウスケ・ナンブは予想外の変質を遂げたようだが。 しかし他者をあっさりと都合が悪くなれば切り捨て、 危険なものとも平気な顔で手を結ぶ人物であることは疑いない。 ブンドルの端正な顔がわずかにこわばる。 あまりにも、今の状況は前途が多難としかいいようがない。 いくらかパーツの回収やメンバーの集結がなり、風が吹き始めているが、それはそよ風のようなもの。 高い山にぶつかれははかなく消えてしまうものだろう。 この場から真の意味で脱出を狙うなら、大きく分けて3つの山がある。 一つ、キョウスケ。 二つ、ユーゼス。 三つ、アインスト・レジセイア。 この全てを乗り越えなければいけない。 そのためには、その時その時の的確な戦力の分配、そして何よりこちらの総合戦闘力の強化が必須だ。 キョウスケとユーゼスがつぶし合い、結果見据えるべきはノイ・レジセイアだけという最高のケースも考えられるが、 常に最悪の事態を想定して動くべきだろう。 都合のいい夢想ばかりで乗り越えられる地点はもうない。 ブンドルは、サイバスターを見上げる。 未だ、真の力を目覚めさせることなく沈黙する巨神。 その力を引き出すことは、絶対に必要な条件だ。 だが、あまりにも時間がない。 今の時間は、19時40分。ユーゼスとの会談まで4時間と20分しかない。 放送後からここまで慎重に吟味してきたが、ここが限界点だ。 ブンドルは、おそらくサイバスターの選んだ人間はカミーユだと思った。 熱気バサラもそれに近かったが、あのラーゼフォンにバサラが乗り込んだ時から、 サイバスターに乗るブンドルだけがわかる独特の感覚がなくなっていた。 そして、行動を共にして分かったが甲児も違う。 サイバスターは興味を示すことはなかった。 アムロやロジャーたちは最初から考慮の外だ。 あまりにもサイバスターが求めるものとは違いすぎる。 結果、残ったのがカミーユだ。 ブンドルもそれとなくカミーユが格納庫に来るたびに確認をしていたが、ほぼ間違いはないだろう。 ブンドルにはわかる。サイバスターの声なき声が、その本質を理解するものとして。 廊下の向こう側からカミーユの姿が見えた。 ブンドルは今一度惜しむようにサイバスターを見つめ、その荘厳な建造物のような表面を手でなでる。 損壊も最低限ではあるが修復され、両腕も使用可能になった。 もう一度、サイバスターを駆りたい気持ちはないわけでもなかった。 しかし、自分ではないのだ。自分では理解はできても行使はできない。 そっとその手をサイバスターから放す。 ブンドルは、もう振り返ることはなかった。 彼が向かう先にあるのは――VF-22S・Sボーゲル。 カミーユが乗っていたマシン。 今から自分は道化を演じよう。 それが、自分を含むこの場にいる全員の未来につながるならば。 VF-22S・Sボーゲルのシートに、静かに背を預ける。 同時に流れ込むこの機体の知識。 しかし、手に握られた機体のわりに大きすぎるライフルの知識はない。 これは別の機体の武器だったということか。 だが分からなくてもかまわない。そこは自分の腕でカバーする。 反応弾は、空間突破の切り札として外してJアークに保存してある。 これで、最悪の事態にも備えはできているはずだ。 カメラから周りを確認する。 ロジャーやソシエ嬢の姿はない。 甲児とアイビスも、危険に巻き込まれない位置にいる。 なら、もう問題ないだろう。 気難しそうな顔の青年の姿が見えた。 ブンドルは最期に一度目をつむる。 開かれた目に、迷いはもうなかった。 多少荒療治でもサイバスターの力を覚醒させ、実践に耐えられるだけの経験を積ませる。 そして、疲労のないベストコンディションでユーゼスと会談する。 これ以上遅れては、それは不可能だ。 「聞こえているだろうか、カミーユ・ビダン」 VF-22Sのガンポッドが、静かに標準させられる。 対象は―――生身のカミーユだ。 ◆ ■ ◆ 破壊を破壊――再生を破壊。 破壊を再生――再生を再生。 この身にこれ以上の休息は不要。 この機にこれ以上の補充は不要。 我は我が身を持って打ち砕くのみ。 宿り木が巣食いしこの体に、もはや救いはなし。 人の業。 人の技。 人の道。 それらの価値。 人の宿業の結末。 爆心地。 到達点。 約束の地。 『望まれていない』 『望まれていない生命……修正』 『望まれていない存在……抹消』 『望まれていない未来……改編』 『望まれていない自分……到達』 我の願いは――― ◆ ■ ◆ 「サイバスターの力はその程度ではないはずだ。その真の力を見せてほしいところだが」 失望の混じったブンドルの声が、カミーユに投げられる。 VF-22Sが、サイバスターの前をバトロイド形態のまま悠然と飛行する。 突然こんな場所に呼び出し、いったい何のつもりなのか。理由は分かっても、到底納得いくものではない。 操縦桿を握りなおし、サイバスターを立ち上がらせる。 サイバスターの操者として、カミーユが適任だと言われた。そしてその力を引き出して見せろと。 銃を突き付けられ、無理に機体に乗せられ、ここまで引き摺られ、戦わされた。 「―――勝手な都合でッ!」 機体を一機に加速させる。 今、目の前にあるのは今まで自分が乗っていた機体。 そして、その手に握られているのは、中尉から託された撃ち貫くための槍。 サイバードに変形して廃墟の市街地を駆ける。 軽過ぎた印象のVF-22Sよりも、サイバードはΖガンダムに近い。カミーユの感覚とうまく噛みあっている。 VF-22Sがオクスタンライフルを腰のラックにおさめ、代わってガンポットを抜くのが見えた。 遠距離狙撃を捨てた以上、距離を詰めて来るつもりなのか。 それがまた余計にカミーユを煽る。今、サイバスターに中距離以上の有効な攻撃はない。 セオリーで言うなら、遠距離から射撃を繰り返すべきなのだ。 それをわざわざこっちの懐に飛び込んでくる理由は一つ。挑発だ。 サイバードの後ろにバルキリー形態のVF-22Sが追いすがる。 カチリと小さな音を立てたのち、閃光とともに吐き出される銃弾。 咄嗟に、急上昇し、射線から逃れる。しかしVF-22Sは突然バトロイドに変形。 勢いそのままに虚空を滑りながらも、ガンポッドを上に向けた。 慣性によって与えられる勢いが落ち、射撃が可能となる位置と、サイバードが上昇した位置が重なっていた。 サイバスターに変形し、剣ですぐ横のボロボロの巨大ビルへ切り込む。 砂糖菓子のように崩れたビルの隙間に身を隠すとともに、閃光が下から上へ駆け抜けていく。 これが初めてVF-22Sを与えられた人間の操縦とは思えない。 VF-22Sの微細な癖までブンドルは掴んでいるとしか思えなかった。 そのままカミーユは、ビルを横薙ぎにディスカッターで切り飛ばす。 ほこりまみれのガラスが砕かれ僅かに光を照りかえす。崩れたビルの残骸が、自由落下でVF-22Sに振り注いだ。 サイバスターはビルの反対側から脱出。周囲を索敵する。 しかし、そんな必要はなかった。ビルとビルのわずかな隙間からビームの輝きがこちらに迫る。 ぎりぎりスウェーバック同然に回避。ビームの発射地点にカロリックミサイルを叩き込む。 しかし、VF-22Sはそのビルの隙間の狭さを利用し壁に変え、奥の暗闇に消えていく。 今、VF-22Sが使ったのは間違いなくオクスタンライフルだった。 人の気を知らないで平然と使うんじゃないと言いたかったが、VF-22Sの姿はない。 驚くことに、気配すら見つからない。判然と、何箇所かに同時に存在しているのだ。 「殺気を消し、分け、切り込む。騎士道の基本だと覚えておくといい」 右ななめ後方。 殺気を感じた場所にカミーユが振り向くが、そこにあったのは、数m程度の瓦礫。 先ほどカミーユが落としたものだろうか。それが、一発のガンポッドに打ち抜かれ―― 飛礫となってサイバスターの表面を打ちすえる。 「こんなもので!」 「しかし、その『こんなもの』もよけられない」 瓦礫の向こう、カメラのフォーカスが何に焦点を当てるかで僅かに混乱している間。 その間に正確にVF-22Sは距離を詰めている。 バリアを纏った拳をギリギリの場所ながらディスカッターで受け止めるが、体躯では勝るはずのサイバスターが弾き飛ばされる。 飛礫に足を止めたサイバスターとブーストを利用し上方から攻撃したVF-22S。 そしてなにより、人型ロボット特有の人間に近い重心を見切りそれをずらすように叩いたブンドルの技量。 落下するサイバスターに追撃はない。 いつでも倒せる余裕か、これは模擬戦に過ぎないといいたいのか、その両方か。 勝手な都合で戦いに引きずり出して、勝手な都合でやって見せろと期待して。 そして、これか。 地面に叩きつけられる直前、サイバスターの背面で精霊光が輝く。 逆噴射で大地に立つ大空の魔装機神。 見上げるサイバスターに、VF-22Sがオクスタンライフルを突き付ける。 「お前が、それを使うなッ!」 キラの時と同じ怒りが、意識を塗り潰す。 キョウスケから託されたものを、撃ち貫く槍を奪い挙句俺に向けるのか―― 勝手な都合で! 脚部、背面、腕のスラスターを限界まで一気に開放する。 一瞬でトップスピードまで加速したサイバスター。シートが体に食い込み、ギチギチと嫌な音を立てる。 天空まで駆け上がるサイバスターは、VF-22Sとの距離を瞬く間に詰める。 VF-22Sも急いで回避行動をとろうとしたが、あまりにもサイバスターに比べてその動きは鈍重と言わざるを得ない。 オクスタンライフルを構えていた右腕が、ディスカッターに切り飛ばされ、宙を舞った。 左手でガンポットを抜き、サイバスターに突きつける。 だが、サイバスターは切り飛ばされたVF-22Sの右手を空の手に掴み、距離を取る。 ガンポッドが放たれる――撃ったのは、何も掴まれていないVF-22Sの左手。 サイバスターは再び夜の空へ。 サイバスターの左手には、剣が。右手には槍が。 月光を受け、サイバスターが白銀に輝く。 「聖ジョージの騎士、か……」 ブンドルの呟きは、怒れるカミーユに届くことはなかった。 ◆ ■ ◆ ――美しい。 それが、サイバスターを始めて目にした時、ブンドルが素直に抱いた感想だった。 優美な印象を受ける純白。兵器としての無骨な印象に程遠い、芸術品的な美しさ。 大空に羽撃つ白鳥のようなその姿は、彼の美意識を刺激するに十分過ぎるものであった。 お前の美しさに私は誓おう――この醜き催しを企てた無粋なあの者達に、我が美学を知らしめんと。 だが、奇しくもサイバスターが望んだ者は、ブンドルではなかった。 ブンドルのようなものではなく、熱く滾る何かを持った若者こそが、サイバスターは求めていると感じた。 心の奥に少し、その組み合わせは美しくないのではないかと思う部分もあった。 くだらない思い過ごしだった。 ブンドルは、静かに一人頷いた。 自分らしくもない杞憂であったことを嬉しくも思いながら、 その美しさを自分では引き出せなかったことへの、ほんの少し名残惜しさもある。 ――本当に美しい。 それが、今のカミーユが駆るサイバスターを見て、ブンドルが素直に抱いた感想だった。 その表面は、戦闘を経て僅かに黒ずみ、元の純白さはない。動きも優雅とは言い難い。 しかし、この美しさは何たるものか。大空を羽撃つ白鳥ではなく、大空を支配し統べる猛禽類の王、鷹のようだ。 サイバスターは、やはり戦騎。その美しさは、躍動する戦いの中にこそある。 燃え上がるような情熱を受け、大空を舞う姿は、鑑賞物として置いてみるものとは別の美しさがあった。 剣と槍を携え闘う雄々しき姿に、ブンドルはイギリスの神話に登場し伝説の悪竜を屠った騎士、聖ジョージを見た。 徐々に、自分が乗っていた時より、サイバスターの速度が上がっていく。 それに合わせて、カミーユの動きも鋭くなっていく。 自分が押され始めている。 そうか、これこそが真のサイバスターか。 VF-22Sにサイバスターのオクスタンライフルが叩きつけられる。 静かにVF-22Sが失墜し、大地に落ちていく。だが、そのかわりに大空には羽ばたいたのだ。 ついに、願い続けていた翼が。サイバスターが。 ビルの壁を背に、蹲るバトロイドのVF-22Sの側に、サイバスターが立つ。 通信機越しに、カミーユの荒い声が聞こえてくる。 怒りに我を見失いとどめを刺す気かもしれない。 あえて道化に徹し、気を逆立てるような言葉を吐いてきた。 その結末は、けしておかしなものでない。 だが、みすみすやられるつもりもない。 命という対価を払うのは、まだ先のつもりだ。 オクスタンライフルが、VF-22Sを標準する。 警告メッセージのウィンドウをブンドルは片づけ、タイミングを待つ。 一瞬の攻防。それならまだ自分に分がある。 撃つ瞬間、回避して機体の中にも伝わるように拳を打ち込む。 それだけを、狙う。 一秒。 二秒。 三秒。 静かに時間だけが経つ。 そして――― すっとオクスタンライフルが下ろされる。 「聞いて分かってますよ。最初から、何が目的だったか。けど、こんな方法で何がしたかったんですか!?」 カミーユの怒りは、銃撃ではなく言葉という形でブンドルに向けられた。 「それも伝えているつもりだ。無論、その責任も負う覚悟はあった」 「だから、黙って殺されようとしたんですか!? 冗談じゃない!」 もっとも、本当は反撃する気だったのだが、今それを言うと余計にことを荒立てるだけだろう。 ブンドルは貝のように口をつぐむと、ボロボロのVF-22Sを立ち上がらせる。 「人をなんだと思ってるんです!? 死ねば責任が取れるなんて逃げているだけだ!」 「だが、現実の状況と折り合いをつかる形では、これしかなかったと思っている。私なりに『納得』しての行動だ」 次の瞬間、VF-22Sはサイバスターに殴り飛ばされていた。 メインカメラに砂嵐が混じる。 「『妥協』を『納得』なんて言葉でごまかして! 自分だけを納得させようとするのが大人のすることか!」 口をハンカチでぬぐう。 口を切ったのか、そこには赤いものが混じっていた。 気付けばドクーガの最高幹部になり、自分に苦言を呈するものは少なくなっていた。 無論、それを必要ないほど自分も優秀だったと自負もある。 だが、これほど荒々しく想いをぶつけられたのは一体どれほどぶりか。 「これも、若さか……」 口元が自然と緩むのが分かった。 久しぶりの血の味もけして悪くないのかもしれない。 自分を振り返るというのは苦いものが往々にして混じるものだ。 「戻りましょう、みんなも待ってます」 カミーユの疲れた声。 やはり感情の爆発で力を出すが、それをコントロールできないタイプなのだろう。 長所でもあるが、短所でもあるところだ。 いや、これはあの場にいる全員に言えることか。 VF-22Sのスラスターが火を噴く。 まだあと一回二回は戦闘で持つだろう。 サイバスターと並び、戦艦へ帰還しようとする。 その時だった。 →life goes on(2)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/180.html
真ゲッター 機体名 真・ゲッター1 全長 55.0m 主武装 ゲッタートマホーク ゲッターのメイン武装である斧。真ゲッターのトマホークはハルバート(斧槍)である。トマホークは、どっから取り出したかしらんが、20本くらいまとめて飛ばせる。詳しくは真デビルドラゴンとの闘いを見てくれ。 ゲッターサイト チェンゲの真ゲッター1のみに存在する鎌。トマホークよりは小回りきくっぽい。 トマホークランサー 上記にあるゲッタートマホークを投げる。ハルバート投げちゃダメだろ…… ゲッタービーム ゲッターの代表武器。真ゲッターは腹と額からビームが撃てる。 ストナーサンシャイン 三人のパイロットの心を一つにして放つ大技。なんか元気玉みたいなの飛ばす技。現在は依々子姉さんが一人で乗ってるため使えないと思う。余談だがこの技の名前を聞いて「ペダルを踏むt(ry」と言うやつがたまにいるが、それはシャインスパークである。 真ゲッターチェンジアタック Dであった変形による連続攻撃。オープンゲット→チェンジゲッター3→大雪山おろし→オープン(ry→チェンジゲッター1→ゲッタートマホーク→オー(ry→チェンジゲッター2→ゲッタードリルの流れ。ある程度自由に捏造しても言いと思う技。連携攻撃だし。 特殊装備 オープンゲット 元来変形するためにゲットマシンへと分離する行為なのだが、竜馬やゴウは敵に囲まれた時の回避方として利用していた。 ゲッターバトルウィング 空飛ぶための羽。地表から一気に大気圏まで飛べる。この羽は刃にもなってるので武器としても使える。使い勝手は悪そうだが。 変形 ゲッター最大の特徴。ゲットマシンが上からどういった順番で一つになるかで変形形状が変わる。当機は真ゲッター2、真ゲッター3へ変形可能。 移動可能な地形 空中○、陸地○、水中×、地中× 備考 早乙女博士が作った真ドラゴン護衛用のゲッター。ある事件を期に早乙女研究所に放置されるが、後にゴウがケイ達を導き、再び戦いに身を投じる。竜馬、隼人、弁慶、早乙女博士、ゴウ、ケイ、ガイと様々な人が乗った。ただしこの1の操縦を担当したのは竜馬、早乙女、ゴウの三人(臨時のケイも含め4人)毎度おなじみだが、ゲッターは1のみが飛べる(例外ネオゲッター)ため、一番仕様用途が高い機体。 機体名 真・ゲッター2 全長 55.0m 主武装 ドリルミサイル 文字通り、ドリルをミサイルのように飛ばす。撃ったら生えてこないので注意。(分離すればなぜか戻るが) プラズマドリルハリケーン ドリルの高速回転によるエネルギーの嵐。インベーダがすっ飛ぶほど出力は高い。 ゲッタードリル マッハスペシャルの速度を利用してドリルで突進する技。唯一の近接戦武器かもしんない。 真ゲッターチェンジアタック 真・ゲッター1の武装参照。 特殊装備 オープンゲット 真・ゲッター1の特殊装備参照。 真・マッハスペシャル ゲッター2のみに搭載された高速移動。ぶっちゃけ原理不明、さすがゲッター! 変形 真・ゲッター1の特殊装備参照。こちらは真ゲッター1、真ゲッター3に変形可能。 移動可能な地形 空中×、陸地○、水中×、地中○ 備考 早乙女博士が作った真ドラゴン護衛用のゲッター。ある事件を期に早乙女研究所に放置される。竜馬、隼人、弁慶、早乙女博士、ゴウ、ケイ、ガイと様々な人が乗った。ただしこの2の操縦を担当したのは隼人、ケイである。こちらは地上戦用ゲッター、漢のロマンであるドリルを搭載したナイスなゲッター。 機体名 真・ゲッター3 全長 30.0m 主武装 ミサイルストーム ケツの辺りにあるミサイルを一斉発射する武装。大きさから言って、当たったらただじゃすまないかと。 ハンマーパンチ パンチ。以上。 大雪山おろし 武蔵先輩直伝の奥義。両腕で相手を掴み、回転、相手を天高く投げ飛ばす。IFで武蔵INガンダムが使ってるとこ見ると、どんなもんでもできるっぽい。余談だが原作においてガイ、弁慶は一回も大雪山おろしは使ってない……はず。※最終話で弁慶の使用を確認 真ゲッターチェンジアタック 真ゲッター1の武装参照 特殊装備 オープンゲット 真ゲッター1の特殊武装参照。 変形 真ゲッター1の特殊武装参照。こちらは真ゲッター1、真ゲッター2へと変形可能。 移動可能な地形 空中×、陸地○、水中○、地中× 備考 早乙女博士が作った真ドラゴン護衛用のゲッター。ある事件を期に早乙女研究所に放置される。竜馬、隼人、弁慶、早乙女博士、ゴウ、ケイ、ガイと様々な人が乗った。ただしこの3の操縦を担当したのは弁慶、ガイである。こちらは影が薄いことで有名な水中戦用。一応装甲は一番分厚い。
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/478.html
関連ページ:無敵ロボ トライダーG7 <鑑賞備忘録> 2010年5月以降に鑑賞した分の記録。ネタバレ注意。 ◆TVアニメ(2010/8視聴完了) 話名 主要新キャラクター メカロボット スパロボ対照表* 主要新メカ 出来事メモ 第1話がんばれ若社長! ワッ太、柿小路専務厚井常務、木下係長、郁絵ちゃん大門先生、三重子先生滝かおる、山田アキラ大山健一、信吉足立長官オンドロン、ヤール ズドール トライダーG7トライダーコスミックトライダーシャトルトライダーフォートレス OP:トライダーG7のテーマED:俺は社長だ 第2話社長はつらいよ ダルダ 第3話お金じゃないよ、心意気 バイオス 第4話男・ワッ太の子守唄 ヘルバーズ 第5話ああ、宿命のライバル ハイマッシュ ・健一、ダイターン3視聴 第6話俺は大好き宇宙塾 ドズーン ・月面ロボット工場建設 第7話危うし!花の係長 ドンマ、ズール グロスター トライダービーグル (×ヤール処刑) 第8話男と男の花が散る ズルチン ドロボス ・公園で初アナウンス 第9話俺は小さな大社長 パンテルス 第10話男・純情!大門先生 ゼライザー 第11話ああ、テスト?作戦 デスボッド 第12話走れ信吉!ゴールをめざせ ダッシュビル、アスメック 第13話俺は地球のスーパー・スター?! チェンタム (×ズルチン敗北) 第14話どうせ拾った貝だもの グアラギン 第15話妹・サチ子は世界一 ダンゴロス 第16話父兄会は大騒動! サンダー 第17話夢にまで見たデート レンザー 第18話ワッ太は世紀の天文博士 バラス 第19話ホットケーキはどんな味? アステロール 第20話感激!ボーナスが出る バンチ (×ズール&ドンマ敗北) 第21話親父は宇宙の大工さん ジャッカル ダングル 第22話心意気だぜ郁絵ちゃん マジーン 第23話歯なしにならない話 ガリドリル 第24話キャベツがなくなる日 グオルグ 第25話男ならひき受けろ! ヒルドラー ・バードアタック新演出 第26話でっかい輪っかだ夏祭り ジャッカル 新トライダーシャトル (×ジャッカル敗北) 第27話ニースからの手紙 ジルバ スカンダル 第28話星空のキャンプ・ファイヤー マグネダー [装備] トライダーセイバー 第29話泣くな男だ!係長 ダンブレザー 第30話大門先生は鬼コーチ ザンブ 第31話おかね婆さん奮戦記 ギャングラ 第32話ああ専務、男涙のアルバイト ブロッカー 第33話女の子はヤキイモがお好き クイーンアテナス (×ジルバ敗北)・火星でバカンスする万丈 第34話熱がなんだ情熱だ! グラード キャッチャー 第35話俺たち少年探偵団 ブロウ 第36話あの町この町日が暮れて アルファ ・射的の景品 第37話火星で食べた!?サンマの味 ベーター 第38話常務は父親一年生 シグマ 第39話トライダーの秘密 オメガン 第40話台風一過・大騒動!! バスター (×グラード敗北) 第41話がんばれ!ポンコツロボット デビロイド アサヒ3号 第42話男・アキラよどこへ行く ウォーガー 第43話スーパーロボット大集合 ドリンコ 第44話六年一組・大門先生 シードグマ トライダー・マリン 第45話ああ、あこがれのハワイ珍道中 スカイバット トライダー・イーグル 第46話三重子先生の決意 ボンバル 第47話ワッ太の誕生日 シビレッグ 第48話男・大門ここにあり ガルデン 第49話危険がいっぱい大仕事 巨大ザクロン (×オンドロン粛清) 第50話とびだせ!若社長!!(Fin) コンピュータ・シグマ - ・ガバール星人撤収・大門先生婚約!・卒業式 ※全く同名or原作再現が一定程度行われているシナリオを記載(「一定程度」の匙加減は完全に管理人の感覚に拠っています。ご了承下さい)。
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/349.html
□ 『くっそ、また誰か来るのかよ! どうなってやがるんだ!』 一方、ナデシコに残ったバサラの目は近づいてくる頭のない機体――ガナドゥールを捉えていた。 戦闘区域を迂回し、ゆっくりと近づいてくる。その身体は今にも倒れそうなほど傷ついている。 目視で見える距離に入った。オモイカネに通信回線を開くことを求めた。 『そこの機体! おまえはナデシコに用があるのか?』 「……ええ、そうよ。あなたはナデシコの代表かしら?」 返ってきた声にバサラは息を呑む。この声―― 『比瑪? お前、宇都宮比瑪か!?』 そう、聞こえてきた声は目前で命を落とした宇都宮比瑪、そのもの。 バサラはその眼でしかと見ていた。彼女が高熱に焼かれ消滅する瞬間を。だからそんなはずはない、わかってはいるのだが―― だからと言って芽生えた希望を幻想と切り捨てることができるほど老成してもいない。 「比瑪? いいえ、私はソシエ・ハイムよ」 もちろん、それは幻想でしかなかったのだが。 声は同じでも、違う。やはり比瑪は死んだのだ。 落胆するバサラ。が、何にしろ対話の機会には違いない。 『俺は、熱気バサラ。ナデシコの代表ってわけじゃないが、今ここにいるのは俺だけだ』 「そう……私達はナデシコと戦うつもりはないわ。状況を教えてもらえる?」 手短に説明する。 「ねえ、ナデシコは動かせないの? ここに留まってちゃ危ないわ」 『やってるんだが……出力が上がらねえんだ。一旦どこかに下ろして修理しなきゃならねえらしい』 オモイカネの示すセルフチェックの結果を見やる。戦艦の状態など門外漢のバサラだが、無理をすれば艦そのものが崩壊するだろうということはわかる。 ナデシコはここから動かせない。離脱するためにはナデシコを放棄するしかないということだ。 悩む二人。だが、事態は更なる役者を呼び込んだ。 けたたましく鳴るアラーム。レーダーにいきなり映し出された機影――2。 『またかよ!』 「ちょっと、アレ見て!」 ソシエが示す方向、空間が一瞬ぐにゃりと歪む。 発光、それが収まったときそこにいたのは雷の魔女、ストレーガ。そしてアンチボディ、ネリー・ブレン。 二度目のバイタルジャンプを敢行した彼らは、首尾よくナデシコそのものへと転移を成功させた。 「ナデシコ! 俺だ、甲児だ! 誰か応答してくれ!」 向かい合うナデシコとストレーガ。ネリー・ブレンは周囲を警戒するように剣のような武器を構えている。 「……仲間?」 『ああ、知り合いだ。――甲児、つったか。俺は熱気バサラ。さっきは世話になったな』 「お前……喋れるようになったのかよ! 良かったじゃねえか! これでまた歌を……あぁ? ああ、わかってるよ!」 バサラに応対した少年、甲児。声を聞いただけで脳天気そうなやつだとソシエは断定した。 彼は途中で誰かに話しかけられたかのような言動を見せた。 「バサラ、話は後だ。一体何がどうなってるんだ? ナデシコは大穴が空いちまってるし、向こうでは真ゲッターが戦ってる。そいつは誰だ? 何があった?」 『ああ、説明する。……っと、そうだ、この頭のないやつはソシエってやつが乗ってる。敵じゃない』 「ソシ「ソシエ!? 無事だったんだ!」 甲児の声に被さり、また新たな声。甲児と同乗しているらしい。 この声を、ソシエは知っている。 「キラ!? あ、あんた何でそんなとこにいるのよ!」 「色々事情が……」 「キラ、そういう話は後だって。今は状況に対応する方が先」 また、知らない声。今度は女の声だった。 「私はアイビス、この子はネリー・ブレン。挨拶はいいから、手短に答えて。――フェステニア・ミューズはいる?」 おそらくソシエとさほど変わらない年の頃の少女が問いかける。そう、それはソシエも気になっていた。 彼女が知るままのテニアなら、この混沌とした状況を見逃すはずがない。 「そうだ、テニア! キラ・ヤマトを連れて来たんだ! さあ、いっちょ言ってやれ! この嘘つき野郎めってな!」 「僕は嘘なんかついてない!」 「もう、二人とも黙って! ――どう、テニアはいるの?」 何やら言い合いを始めたキラと甲児を置き去りに、アイビスが怒鳴る。 唯一その答えを知っているであろうバサラは―― 『――テニアってやつは、もういない。ナデシコを襲ってきた奴と一緒に、どっかに行っちまったよ』 おおよその事情を察したバサラは、努めて感情を込めず呟いた。 テニアのことを説明するということは、甲児に比瑪のことも言わなければならないと――そういうことだから。 『俺はテニアってやつが何をしたか知らない。知ってるのは、ここで起こったことだけだ』 そして、覚悟を決めて語りだす。 ――俺達はちょっと前にテニアと合流した。基地で化けもんみたいなやつに襲われたらしい。 テニアと一緒に行動してたオルバってやつは、テニアを逃がすために残ったらしい。だから助けに行こうって言われたんだが……嘘だったんだと。 シャギアには、離れていてもオルバと自由に情報をやり取りする力があったそうだ。 だから途中でネゴシエイターと会ったことも知ってたし、――テニアが、自分が逃げるためにオルバを囮にしたってことも……わかったそうだ。 正直俺にはマユツバもんな力だが、ガロードも証言した。本当のことだってな。 で、シャギアはテニアを殺そうとした……そのときテニアは、比瑪を人質にしたんだ。 比瑪はテニアの話を聞こうって言った。俺も、できれば止めたかった。 その次に、シャギアがぺガスを使って比瑪を助けた。 人質の比瑪を離して、シャギアがテニアを殺そうとして――そこで、さっきの話の、ナデシコを襲ってきたやつだ。 俺達はみんな格納庫にいて、接近に気付かなかった。先制攻撃を受けて、ナデシコは揺れたんだ。 あれは……防げなかった。シャギアの銃口の前に、比瑪が投げ出されたんだ。止められなかった―― ――宇都宮比瑪は死んだ。シャギア・フロストの手で―― バサラはそう締め括った。 『今、シャギアとクインシィってやつが襲ってきた別のやつらと戦ってる。ナデシコはここを動けない。――ざっと、こんなところだ』 「そんな……嘘だろ? 比瑪さんが、死んだ? 嘘だろ……嘘って言えよ、なぁ!」 『嘘じゃねえッ! 俺だって信じたくはねえ、でも……!』 「お前、歌で戦いを止めるって言ってたじゃねえか! なのに、どうして! どうしてテニアを止められなかったんだよ! どうしてシャギアさんを止められなかったんだよ! ――どうして、比瑪を助けられなかったんだよ……!」 『……ッ!』 「どうして、」 ぐっと、バサラは臍を噛む。それこそ正に、自分が思っていたことだから。 歌で戦いを止めるなどと言って、結局何もできやしなかった。 尚も言い募ろうとする甲児。だが、パァン――と、その口が開かれる前に音が響く。何かを叩いたような。 「甲児、後にして。今は敵を撃退する方が先だ」 「てめえ、キラッ! お前に何がわかるってんだ!」 「君の悲しみはわからない……僕は、その比瑪っていう人を知らないから。でも、今しなくちゃいけないことはわかるよ」 「そうだよ、甲児。シャギアさんとクインシィさんを助ける。でしょ?」 「アイビスさん……」 「ええ、今はロジャー達が抑えてくれてるけど、実際不利なのはナデシコを抱える私達だわ。数で勝ってるんだから、一気に押し切りましょう!」 キラ、アイビス、そしてソシエが言う。甲児の仲間を、シャギアを助けに行こうと。 なら、シャギアの最後の仲間である甲児のやるべきことは、決まっている。 「――――ああ! 今はシャギアさんを助ける! 小難しい話は後だ……!」 正義の魔神。その操者にふさわしく、熱き怒りの嵐を胸に、悪の炎を全て根絶やすまで――兜甲児は屈しない。 『お前ら……へへっ、そうだな。よぅし……!』 ブリッジの中央に立ち、相棒のギターを掻き鳴らす。 さっきは届かなかった。だが、膝を折ることはしない――今度こそ届けてみせる。この戦場に、戦う者たちに。 さあ、舞台は整った――熱気バサラ、ファイアーボンバーのボーカルにして銀河に響く歌声の持ち主がやることは唯一つ! 『戦いなんざくだらねえぜ! 俺の歌を、俺達の歌を――聴けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!』 機械の音声? 肉声じゃない?――そんなことは問題じゃない。 大事なことは。この胸に熱く燃える、ギラギラした魂を吐き出すこと。 だから、聞け。そして更に聴け。 熱気バサラ、一世一代の熱血ライブを――!! ナデシコの全スピーカーを開放。 オモイカネが、ベース、ドラムやキーボード――ミレーヌやレイ、ビヒーダ。仲間たちの代わりにサポートしてくれる。 エリア丸ごと、戦場に響く歌声。突撃ラブハート――最高にノれるナンバー。 当然、至近距離にいる甲児たちには凄まじい音量だ。 「……え、ちょっと。なんで急に歌い出したのよコイツ……!?」 「いいじゃねえか。景気付けだ……チクショウ、俺も燃えてきたぜ――ファイヤーッッ!」 「うん、いい歌。心の底から勇気が湧いてくるよ」 「そうだね……なんでもできる、そんな気になる」 ソシエだけがノリ切れていないようだ。なんか悔しい――だから叫ぶ。 「ええい、もうっ! やってやるわよ……ボンバーッッ!」 『ハハッ、お前らも中々ノリがいいじゃねえか! うっし、ドンドン行くぜ! ――っと、そうだ、キラ、だったか?』 「え、うん。キラは僕だけど」 『お前、アスランってやつを知ってるか?』 「アスラン……!? あなたはアスランに会ったんですか!?」 『ああ。そうか、お前があいつの言ってた……へへ、変なもんだな。あいつじゃなくて、俺がお前に会うなんてよ』 「はい……。バサラさん、ここを乗り切ったらアスランのことを話してくれませんか? 僕は……会えなかったから」 『おうよ! ――じゃあ、次のナンバーはこれだ!』 一曲歌い切り、バサラが次に選んだ曲――それは葬送曲。 かつて友が逝ったというアスランに送った、死者へ手向ける鎮魂歌。 だが今は意味が違う。死者を送るためのものではなく、死地に赴く者の標となることを願って。 アスランが聴いたというその歌を背中に受け、少年たちは戦場へと向かって行った。 □ 「この歌は……?」 一人取り残されたロジャー・スミス。戦いを止めることも、また加わることもできずにいる。 今の彼にはどちらも資格がない。 ガロードを守るべく奮闘するクインシィ。 ユリカを殺されたガイ――アキト。 オルバを殺されたシャギア。 そしてその両方の原因たるガウルン。 この四者には確固たる意志がある。 その意志のないロジャーには、あの戦いに参加する資格がない。だから、こうしてガロード・ランの救助にあたっている。 意識のないガロードをパイルダーから引っ張り出す。 幸い、目だった外傷はない。頭部から出血しているものの深手ではなく、気絶の原因は脳震盪だろう。 手早く処置を済ませ、意識のない彼を担いで凰牙へと戻る。ナデシコへと移送しようと機体を回した時、「それ」は聴こえてきた。 銀河に響く、生命の歌。 プロトデビルン――神話の怪物すらも退ける、熱い魂の連なり。 おそらくはこのエリアすべて、いやもしかすればそれ以上の範囲に響き渡っているだろう。 中心はナデシコだ。言うまでもなく目立つ――その弊害など考えもしていない。ただ望むまま、思うがままにその存在を叫んでいる。 ロジャーには既にない若さ。それがひどく羨ましい。 ナデシコの方角から三機の機動兵器が飛来していくのが見える。 その内の一機はガナドゥール、つまりソシエだ。行く先……シャギア達が戦っているところ。 援護に行くつもりなのだろう。無茶な、と声が漏れる。 見たところ、一番大きな機体でもガナドゥールと黄色の機体がせいぜい24、5m。青い小型機にいたっては13mほどしかない。 ヴァイクラン、真ゲッター、ブラックゲッター。三機のパワーとは比較することすら無駄だろう。 唯一同サイズといえるマスターガンダムは、乗り手が恐ろしく腕が立つ。ソシエ以外は誰が乗っているか知らないが、それでもあの男以上とは思えない。 ガロードを乗せ、パイルダーを抱えて立ち上がる。彼をナデシコに送り届けた後、自らも向かわねばならない。 騎士凰牙が走る。ややあって、ナデシコの目前というところまで来てレーダーが東に新たな機影を告げる。 対岸を仰ぎ見る。ガウルンとともにいた少年が頭をよぎる。彼だろうか? 「……なっ!?」 そして、現れたのは巨大な隻腕の天使。凰牙の2倍近いサイズ――真ゲッター並。 その名はラーゼフォン。機械仕掛けの神――にして、進化するプログラム、その苗床。 いかん、と頭の中でレッドランプが鳴る。ガロードというケガ人を抱えて相手のできる大きさではない。 天使は長大な剣を携えている。見覚えがある――青い騎士の剣。 ということはあの少年、ひいてはガウルンの仲間。いよいよ持って最悪の状況に追い込まれたらしい。 せめてもの抵抗として身構える。すると、天使は50mほどの距離で停止した。 「警戒するな。こちらに戦闘の意志はない」 通信。 安堵――いや、まだ早い。見極めてからだ。 「私はロジャー・スミス。そちらの名と、目的を確認したい」 「これはこれは、Mr.ネゴシエイターか。会えて光栄だ――私はユーゼス。ユーゼス・ゴッツォ。目的はナデシコの援護だ」 映像は仮面の男を映し出している。怪しいことこの上ない……が、先に仕掛けてこなかった以上ここで行うべきは交渉だ。 「状況は理解している。ガウルンなる男を排除するのだろう? 協力しよう」 「……感謝する。しかし、敵はあの男だけではない。ガイ――いや、テンカワ・アキトという男にも仕掛けられている。こちらの無力化もご協力願う」 「テンカワ――なるほど、了解した。しかし、それならナデシコをここから離脱させるべきではないか? あのような目立つことをしていてはガウルンの目を引くぞ」 天使は歌い続けるナデシコを指し示す。が、すぐにその右舷に空いた大穴に気付いたようだ。 「なるほど、あの損傷で動けないという訳か。……それなら、私が向かって何とかしよう。君はガウルンを頼む」 「できるのか?」 「造作もない。援護はできんが、構わんな?」 「ああ。そうだ、ついでに彼を頼む」 コクピットを空け、ガロードを引っ張り出す。天使は意を察したか掌を伸ばしてきた。託す。 「頭を打っている。慎重に扱ってくれ」 「了解した」 これで身軽になった。 見据えた彼方では更に戦闘が激しさを増している――いや、何かおかしい。 望遠。真ゲッターが、増援の三機の内の一機を攻撃している! 「馬鹿な……何をしているのだ!?」 「行け、ネゴシエイター! ナデシコは私に任せろ!」 ユーゼスの後押し。今は逡巡している暇はない。 「すまん、頼んだ……!」 だからロジャーは彼の言うとおり戦場へ向けて駆けだした。 背中で、ニタリと嗤う仮面の悪意に気付かずに。 □ 「クインシィ、後ろだ!」 「わかっている! 弾幕を絶やすな!」 真ゲッターの振り下ろす大鎌を、ブラックゲッターの戦斧が受け止める。 その背後から飛びかかるマスターガンダムは、ヴァイクランの放つ光弾が弾き飛ばす。 ゲッターロボ同士の鍔迫り合いは、黒い戦鬼に軍配が上がる。一人が駆る一人乗りと、一人しかいない三人乗りの差。 ゲッターサイトが弾かれる。だがその瞬間にチャージが完了。 「ゲッタァァァビィィィィィイイムッッ!!」 クインシィの咆哮とともに、幾条ものゲッター線を凝縮した光線が放たれる。 ブラックゲッターはトマホークを縦横無尽に振るい、ビームを迎撃する。 やはり同じゲッターを扱う者同士、手の内はわかるようだ。 後退する。背にヴァイクランを置き、右手にはブラックゲッター。左手にはマスターガンダム。 強い――。それがクインシィの実感。 敵手のみならず、後ろの男もかなりの使い手。 実際単騎で戦えば、真価を発揮しきれない真ゲッターでは荷が重い相手ばかりだ。 ブラックゲッターはビームこそ撃ってこないものの、単純な格闘能力は真ゲッター並。 マスターガンダムは凄まじい機動性を武器に、虚々実々の動きを見せる。 唯一味方であるところのヴァイクランは強固なフィールド、そして甚大な威力の砲撃を放つ。 そして例外なく一流、いや超一流の乗り手ばかり。 クインシィは自らの技量が彼らに劣るとは思ってはいないが、ゲッターロボの本領たる変形戦法を封じられて攻め手に欠けることを、認めずにはいられない。 そして驚くべきことに、ブラックゲッターとマスターガンダムは特に共闘していないのだ。どころか隙あらば互いに刃を、拳を送り込んでいる。 それでいて、組んだこちらと対等。 並々ならぬ技量。改めて心中に刻みつける。 「いやぁ……楽しいねぇ。俺ぁ楽しすぎて狂っちまいそうだよ。お前もそうだろ、アキトちゃぁ~ん?」 「黙れ」 「おうおう、つれないねぇ。じゃあアンタはどうだい、姉ちゃん。飛び入りだが中々いい腕してるなぁ」 「貴様の賛辞などいらん」 「なんだぁ……振られちまったか。まったくノリが悪い――ん?」 無駄口を叩くガウルンに構わず、何十回目かの攻撃をかけようとしたときにその歌は響いた。 がなり立てるスピーカーを黙殺しモニターを横目で睨みつける。発信源はナデシコだ。 あのトンガリ眼鏡――準備とはこのことだったか。 「お、BGMとは中々気が利くねぇ。よし、あいつを殺すのは最後にしてやろう」 などと楽しげにほざくガウルン。その声は喜色に溢れている。 戦いを遊び場にしているような男に負けるわけにはいかない――より一層精度を増した砲撃から、後ろの男も同じ考えだと確信する。 シャギアに手振りで指示を送る。即席のコンビだが、この男は見事に対応してくる。まるでペアでの戦闘が専門分野だというかの如く。 頷いたシャギア、こちらも頷き返し、突撃「やいやいやいやい! おめえらの乱痴気騒ぎもここまでだ!」を開始――何? 見れば、シャギアも困惑顔。カメラを回せば新たに現れた三機の影。 黄色い機体――ガロードが乗っていた機体だ。青い、頭部のない機体――見覚えがあるようなないような。 そして、最後の一機。 息が止まる。 クインシィは知っている。そう、あの機体は…… 「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!悪を倒せとこの兜甲「――ユウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥウゥウゥゥゥッッッツッッッッッ!!!!」 目前の敵手のことも、背中を守る男のことも、あるいはガロードのことさえも。全てが彼方に吹き飛んで行く。 あのブレン。あの青いブレン――伊佐美勇、弟の駆るブレン! 身体が軋むほどの速度で宙に飛び出す。向かう先はネリー・ブレン。 「うあああああああああああああああァァァッッ!」 巨体にモノを言わせ、機体ごと叩きつける力任せのパンチ。だがスピードが尋常ではない――ブレンなど、掠っただけで木端微塵。 「アイビスッ!」 クインシィの知らない声。ブレンに到達する直前、視界をプラズマが駆け抜ける。 腰のあたりに着弾。姿勢制御が崩れ、拳がブレンパワードを捉えられず。 黄色い機体が腕を掲げている。邪魔をした――敵だ。 「ちょっと、待ってよ! アンタ一体何のつもり!? あたしはアイビス、勇なんて名前じゃ」 「うるさいッ! ユウを……ユウを出せッ! 私の、ユウを……返せぇぇぇぇッッ!」 真ゲッターは止まらない。クインシィの激情そのままに、ネリー・ブレンへと打ちかかっていく。 再びのパンチ。 「甲児!」 「わかってる!」 が、黄色い機体が割り込んで来る。 そいつはサイズは真ゲッターの半分ほどのくせに、ガッチリと真ゲッターのパンチを受け止めた。 「甲児君! 無事か!?」 シャギアの声が飛ぶ。先程の名乗りは間違いなく兜甲児だった。 これ以上失う訳にはいかない駒――仲間。 「……え、うん。わかった、甲児は操縦に専念して――こちらはキラ・ヤマト。シャギアさん、聞こえますか」 だが、甲児の機体から返ってきた声は甲児のものではなく。 「キラ――ヤマト!? なぜそこにいる!」 「詳しい話は後です。僕は戦いに来たわけじゃない――それだけは確かです! それより、クインシィさんは一体どうしたんですか!? 勇って誰のことです!?」 「……知らん! ガロードの話では彼女の弟らしいが、ここに来ているかどうかすら不明だ!」 「だったら、彼女を止めてください! このままじゃ……!」 「そうしたいのは山々だがな……ッ!」 「よそ見してんじゃねぇよッ!」 ヒートアックスが投擲された。シャギアは慌ててフィールドを展開する。 そう。ガウルンが、ヴァイクランの離脱できる時間を与えないのだ。 「大変だなぁ。お仲間が助けに来たかと思えば、さっきまで組んでた相棒がイカれちまって。 肝心の自分はまた一人ぼっち――んん~、カワイソウなシャギア君! お兄さんが慰めてやるよぉッ!」 「この――狂人め!」 「褒め言葉だぜ、兄ちゃん――っと! アキトぉ~、お前さんもしつこいねぇ。俺としちゃあ嬉しいんだがよぉ」 「……」 背後からのトマホークブーメラン。だがマスターガンダムは、一つを蹴り落とし一つをその腕で掴み取った。 もはやガウルンの軽口に付き合う気はないのか、無言で距離を詰めに来たアキト。 マスターガンダムの腕が閃き、手斧が唸りを上げてヴァイクランを襲う。 最後のガンスレイヴで撃ち落とす。その間にガウルンは離脱――その手には放り出されていた大鎌。 ブラックゲッターの一撃をゲッターサイトで受け止めるマスターガンダム。 隙がない。やはり、この機体ではアキト、ガウルンは同時に捌ける相手ではない。 舌打ちする、シャギア。 背後で物音。咄嗟に機体を回すも、そこにいたのは騎士凰牙、ネゴシエイターの機体。 騎士凰牙はシャギアの横をすり抜け、アキトの駆るブラックゲッターの前に立ちはだかった。 「シャギア、こちらは任せろ。君はガウルンを頼む」 「ネゴシエイター……戦う気になったのか?」 「私とて、子ども達を戦わせておいて涼しい顔でいられるほど腐ってはいない……それだけだ」 ヴァイクランと騎士凰牙、背中合わせに立つ。 ともあれ、これで一対一対一から一対一が二組へ。少しは余裕のある戦いができる。 「ガイ――いや、テンカワ・アキト。君は私が止めるよ。ユリカ嬢のためにも」 「言ったはずだぞ。貴様がユリカの名を口にするな、と」 「チッ、ネゴシエイターめ。いいところで水差しやがる……まあいい。アンタにもそろそろ飽きてきたんでな、死んでもらうぜ」 「やれるものならやってみるがいい。返り討ちにしてくれる!」 クインシィ対アイビス、甲児、キラ、ソシエ。 アキト対ロジャー。 ガウルン対シャギア。 役者は集い、相手を替えて戦いは続く。バサラの歌だけが変わることなく流れていく―― →戦場に響く歌声(1)
https://w.atwiki.jp/rowamousou/pages/1274.html
本編 本編SS目次 設定 参加者名簿 参加者名簿(ネタバレあり) 資料/他 死亡者リスト 支給品一覧 SSタイトル元ネタ解説 用語集 絵置き場 ネタ元 振り返り
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/254.html
人の意思 ◆Qi1eK.TiFc 朝日が昇り、煌きめく光が周囲に広がる。 南部に設置された市街地全域に朝日が差し込む。 その光は市街地内の高層ビルに備えられた窓ガラスにも降り注ぐ。 枚数は数えられないほどに多いが、厚みは薄くあまり目立たない。 しかし、日光の反射により、自分の存在をこれでもかといわんばかりにその存在を周囲にアピールする。 そう。まるで、盛んに動き回っている彼らのように。 大地を蹴り飛ばし、宙を舞い、爆音を響かせながら一つのステージで踊り狂う彼らを鑑賞するように。 窓ガラスは彼らを、二体の機械仕掛けの人形が織り成す舞台を眺めていた。 「ガンダムF91か……俺向きの機体だな」 白と青で彩られ、四本の黄色いアンテナを備えた複眼のモビルスーツ。 ガンダムF91のコクピット内のシートでアムロ・レイが呟く。 進化した人間、新人類ともいうべきニュータイプであるアムロ。 そんなアムロにニュータイプ専用機として開発されたF91が馴染むのは当然といえるかもしれない。 先程、脳に流れ込んできた操縦方法は既に粗方把握済み。 更にその知識に己の天才的な操縦技術を加え、アムロはF91を存分に操る。 背部のバーニアを吹かし、高層ビルの間をF91は器用にすり抜けていく。 無駄のない、洗練された動きでF91を飛ばすアムロ。 だが、F91の動きとは裏腹にアムロの表情に余裕はあまり見られない。 地球連邦軍に所属するエース部隊。 ロンド・ベルのモビルスーツ部隊隊長である、アムロから彼の余裕を奪う存在が居たから。 ガンダムF91が飛び去った後、数秒の間を置き、追いかけるように音が響く。 「おいおい、つれねぇなぁ。 いつまで逃げるんだよ、あんた」 地が砕ける大きな音が響いたと思うと、黒い影が宙に飛ぶ。 それはモビルスーツとは違い、パイロットの動きをダイレクトに伝達するモビルファイター。 悪魔を思わせるような鋭角的な頭部、緑の複眼を持つ黒い形状を持つ機体。 マスターガンダムが前方を飛ぶガンダムF91を追うように飛び跳ねた。 操縦者は秘密組織アマルガムに所属する男、ガウルン。 マスターガンダムのコクピットではガウルンがそれと同じように身体を動かし、声を上げる。 気品といった様子は一切なく、下品じみた笑いさえも含むガウルンの声。 優雅に飛行するガンダムF-91とは違い、野獣のように地を駆けるマスターガンダムはガウルンの気性を良く表しているようだ。 (あーあ……焦らしてくれるねぇ。まぁ理由はわかるがな……) 今まで自分の攻撃からチョロチョロと避わし、碌に戦おうとしなかったアムロにガウルンは苛立つ。 そう。アムロは、今は兎に角距離を離す事に専念していたから。 その理由は勿論、先程分かれたガロードをガウルンが追撃しないようにするため。 ガウルンもその事に感づき、アムロの甘さに対し内心毒づいていた。 あまりにも甘い。一人しか生き残れない素晴らしいデスゲームで何故、他人の命を考える必要があるのか。 まるで人道上の理由とかつまらない事を上げ、温い手しか打ってこなかったミスリルのように。 数回の跳躍を経て、マスターガンダムはコンクリート舗装された市街地の道路を踏みしめ、疾走する。 そして右腕を構え、普段使い慣れたライフルや刃物ではなく、己の腕を向けて対象を絞った。 「さぁて……これはどうだ?」 低く、それでいて可笑しそうに唸るガウルン。 数秒の間を置き、右腕を大きく前方へ突き出す事でディスタントクラッシャーを放つ。 緑色のワイヤー状の物体に引かれながら、マスターガンダムの右肘から右腕が空を切ってF91へ迫る。 F91は低空飛行を切り替え、瞬時に大きく上昇し回避。 ディスタントクラッシャーは虚しく地に着き刺さり、F91はそれを嘲笑うかのように飛び続ける。 だが、ガウルンは気にする事なく、直ぐに右腕を引き戻し、再び右足を踏み込む。 マスターガンダムは多少大袈裟に腰を落とし、前方へ飛び込み、F91との距離を詰めた。 そのマスターガンダムの動きにはF91と同じく、無駄はない。 「隠すなよ、どうせあんたが強ぇコトは俺にはわかってる。 その動きを見ればなぁ!」 その理由はアムロが一流のモビルスーツ乗りなら、ガウルンは一流のテロリスト。 もとい、一流のAS乗りであるから。 モビルファイターであるマスターガンダムを天性の勘で文字通り、自分の手足として動かす。 やがてF91はビルの密集地帯を抜け、それにマスターガンダムも追従するように跳び抜けた。 「黒いガンダムのパイロット! こちらは、アムロ・レイだ。 貴様の名前と目的を言え!」 「へっ! ようやく名乗ってくれたか、アムロさんよぉ。 嬉しいぜぇ……俺はガウルンとでも呼んでくれや」 既にガウルンに休戦の意思はないと悟ったアムロは、オープンチャンネルを開き、ガウルンがそれに応える。 一瞬の内に交わされる言葉で互いの名前を交換。 続けて、今まで背部を向け続けていたガンダムF91は一瞬の内に反転。 そのまま低空飛行を行いながら、右腕で握ったビームライフルを構える。 対象は、自機の僅か後方でコンクリートの大地を、砂利道を蹴飛ばすかのように、追ってくるマスターガンダム。 右のマニュピレーターを操作し、アムロはビームライフルの引き金を引き絞る。 瞬く間に、ビーム音が周囲につんざく様に響く。 昇り始めた太陽の光とは比べ物にならない光が生じ、緑の光弾がマスターガンダムへ向かう。 自分を楽しませてくれそうな人間、アムロの名前を知り思わずガウルンの心に喜びが広がる。 そして光弾に慌てる様子もなく腰を落としたと思いきや、突如マスターガンダムの姿は消えた。 そう。ガウルンは地を蹴り飛ばし、マスターガンダムを跳躍させ、ガンダムF91の上方へ浮かせていた。 右足を向け、ガンダムF91を踏み砕くといわんばかりにそのままの勢いで降下していく。 「やってくれる!」 予想以上に速いガウルンの反応速度に、アムロは自然と苦虫を噛み潰したような表情を見せる。 だが、いつまでもそうしていられるはずもない。 更に大地へ背部を向けたまま、バーニアを吹かせながらアムロはもう一発ビームライフルを撃つ。 マスターガンダムに対し、昇る様に撃ち出された光弾。 光弾は除々に加速し、その速度は速い。 空中戦闘に向いているとはいえないマスターガンダムに、それを避けるのは難しいと思えた。 「やるねぇ、アムロさん。 そうそう、俺の目的はなぁ――――」 だが、マスターガンダムはASでなければ、モビルスーツでもなく、モビルファイターである。 幾らASの操縦性や追従性に優れているといえどもモビルファイターには叶わない。 よってマスターガンダムは、ASよりも更に高い精度でガウルンの動きをトレースするのは容易い。 ガウルンは極上の料理を楽しむかのように表情を歪ませ、半身を逸らした。 やり慣れたように光弾を避け切り、マスターガンダムが重力に引かれ、地に突き刺さるように落ち―― 「あんたと遊んで、ブチ殺すコトさッ!」 アムロが駆るガンダムF91に向けて、勢い良く右の踵を振り下ろした。 ビルの密集地帯であれば衝撃音により、窓ガラスが割れたと思えるほどの音が響く。 実際、そこら中に設置されていた信号機などが崩れ去り、衝撃の大きさを示す。 そして、何かが砕ける音も起こり、地に降り立ったマスターガンダムのボディにその破片が次々とぶつかった。 「……けっ、やっぱやるわ、あんた」 だが、ガウルンは満足のいく手ごたえを感じらない。 そう。市街地に伸びた道路のコンクリートの破片を振り払い、ガウルンは口を開く。 その表情には不思議と落胆のような感情は見られなかった。 それどころか寧ろ、ガウルンが不敵に浮かべる表情からは喜びさえもある。 頭を動かし、鋭く尖りきった視線でガウルンはある方向へ視線を向けた。 其処には未だ健在な機体の姿が一機。 「まぁ……ここで終わっちゃあ、たまらねぇからな」 マスターガンダムの踵落としから緊急回避を行い、更に距離を突き放した機体。 ビームライフルを油断なく構え、宙に浮遊するガンダムF91に向かって、ガウルンは言葉を突きつけた。 コクピット内で下品な笑みを潜ませながら。 (なんだ、このガンダムは……? 何故あれほどまでにも激しい動きで駆動系にガタが来ない? F-91やνガンダムとは設計思想が違うというのか……) 必要以上に燃料を使用する事はない。 そのため、地に降り立たせたガンダムF91の中でアムロは思考を走らせる。 地球連邦の新型ともいえず、どちらかというとギム・ギンガナムが乗っていたようなタイプに似ているマスターガンダム。 自分達が通過してきた地点はマスターガンダムの攻撃により見るも無残な惨状となっており、性能の恐ろしさが嫌でも印象付けられる。 更に、何度も大地を蹴り飛ばしたにも関わらずマスターガンダムの脚部に特に消耗は見られない。 また、爆発的な推進力を誇り、腕を飛ばしたりして、仕掛けてくるマスターガンダムの格闘戦。 サイズの大きさもあり、恐らく一度でも掴まれば終わりだろう。 接近を許すわけにいかず、許してしまえばどうなるか想像に容易い。 高機動戦闘を開発コンセプトに置かれたであろうF91では抵抗のやりようがないといえる。 (ならば、戦い方は決まったな……) だが、取り乱しもせずにアムロは冷静に状況を分析し、己の方針を決定づける。 マスターガンダムが接近に特化した機体であるのは最早間違いない。 先程の戦闘、そして武器らしい武器を持っていない事から容易に推測出来る。 ならば、此方も無理をしてまでも格闘戦に付き合ってやる事もないだろう。 距離を取り、ビームライフルを始めとした射撃兵器で畳み掛ける。 勿論、F91の利点でもある高機動を生かした攪乱も行う。 また、片腕を飛ばせるのであればもう片方の腕も飛ばせておかしくはない。 マスターガンダムの両腕に注意を留めながら、アムロは己の両腕に力を込めた。 「やってみせるさ」 ビームライフルは構えたままで、再びF91のバーニアを動かす。 直ぐにフワリと宙へ浮くF91。 数百メートル程離れた距離で此方を不敵に眺め、立ち続けるマスターガンダムにF91の右腕を翳す。 極、自然な動きでマスターガンダムはF91の動きに合わせるように、腰を落とし構えを取る。 更に右腕に今まで隠し持っていたヒートアックスを握り締め、いつでも飛び掛かる体勢を取った。 右腕と共にマスターガンダムへ向けられ、朝日の光によってビームライフルの銃身が黒く光る。 それはまるで獰猛な獣に対し、剣を構えた騎士のような神秘的な構図。 永遠とも一瞬とも形容し難い不気味な時が静かに両機の間を通り抜ける。 しかし、その光景は一瞬の内に崩れ去った。 「そろそろいかせてもらうぜ、アムロさんとやらよぉッ!」 「来い、ガウルン! お前に負けるつもりなどない!」 「言ってくれるじゃねぇか! 嫌いじゃないぜ、そういうのはなッ!」 「戯言をッ!」 マスターガンダムが黒い弾丸となって飛ぶ。只、勢いに任せて飛ぶ。その勢いは強い。 そして、カメラアイでマスターガンダムの動きを追い、F91がビームライフルの引き金を引く。 ビーム音と共に、一条の閃光が走る。 それがガンダム同士の闘いを再開させる合図となった。 ◇ ◆ ◇ ボディの彼方此方に備えられたバーニアを世話しなく吹かせる。 熱噴射による推進力を糧に、アムロを乗せたF91が市街地の間を駆け巡る。 F91には損傷らしき損傷は見られず、アムロの技量の高さを窺えた。 そう思えば、アムロは機体の向きを上方へ揺らす。 エメラルドグリーンの光を放つカメラアイと共に、向かれたのはビームライフルの銃身。 その先、数百メートル程にいる影は真っ黒な機体。 そう。それはいうまでもなくマスターガンダム。 ビートアックスを振り上げながら、F91へ肉薄するマスターガンダムにビームライフルが捉える。 「へっ、甘いな」 軽く一笑し、ガウルンはマスターガンダムと同様の動きを取り続ける。 卓越した戦闘技術を誇るアムロの操縦によって撃ち出されたビームの光。 無常にも一条の光は空を突きぬけ、肉眼では確認できなくなった。 身を器用に逸らしたため、マスターガンダムに碌な損傷はない。 そのままの勢いで、地に背部を向け、此方にビームライフルを向けるF91を再度視認する。 先程、豪勢な踵落としを放った時と状況がどことなく被った。 そして、マスターガンダムはヒートアックスを握りしめた右腕を振りかぶる。 「そらよ」 やがてマスターガンダムの右腕が振り下ろされる。 秒にも満たない感覚で、ヒートアックスがマスターガンダムの右のマニュピレーターを離れた。 そう。斬りつけるのではなく、投擲をガウルンは選択した。 どうせ、拳や蹴りといった打撃を狙っても当たる事は難しいだろう。 アムロの技量を先程拝見したガウルンは確実な手を取った。 一流のAS乗りとして傭兵の名を馳せた事は伊達ではない。 ヒュンヒュン。 何度も風を切る音を響かせ、ヒートアックスが回りながら突き進む。 「そんなもので!」 アムロは咄嗟にバーニアを切り替え、斜め上空へF91を飛ばす。 マスターガンダムの方ではなく、距離を取れる方向へ。 ビームライフルでの迎撃は出来なかった。 あまりにも距離が近く、おまけにヒートアックスの速度が速いためだ。 ビームシールドでの防御も考えたが、ヒートアックスの勢いを完全に殺せるかどうかは確かではない。 F91が存在していた場所にヒートアックスが突き刺さり、コンクリートに亀裂が刻み込まれる。 上空に飛ばしたF91の中でアムロは再び、ビームライフルの照準に目を凝らす。 無駄のない動きで且つ迅速に。 一瞬の時間を費やした後、アムロがもう一度ビームライフルの引き金に掛けたマニュピレーターを動かそうとする。 「なんだと!?」 しかし、アムロは引き金を引き絞る瞬間、前面モニターに広がるものを見て、驚きの声を上げる。 そこにはマスターガンダムの他に、もう一つ真っ黒な影があった。 「本命はこっちってやつさ!」 ヒートアックスの元へ落ち行くマスターガンダムの中でガウルンが笑う。 右腕が不自然に伸びきったマスターガンダムのカメラアイが鋭い光を灯す。 そう。ヒートアックスから逃れるであろうF91の行動を見透かして、既に打ち出していたディスタントクラッシャーを見つめながら。 ガウルンがアムロを興味と嬉しさを混じ合わせたような瞳で観察する。 アムロが自分の手にどんな持ち札で対抗するかを。胸が高鳴るような期待を寄せながら。 「チィッ!」 ビームライフルを撃ち、アムロは咄嗟にF91の重心を後方へ飛ばす。 急激な加速により、ハーネスによって固定されたアムロの身体が軋む。 迫り来るマスターガンダムの左腕は変則的な動きでジグザグに宙を進み、危なげな頃合でビームの一閃を逃れた。 尚をも突き進むマスターガンダムの左腕にアムロは舌打ちを行いながら、対抗手段を練る。 瞬時にF91の胸部からメガマシンキャノンが二箇所から吐き出された。 弾数は多い。速度も所要時間もビームライフルとは較べものにならない。 秒に数百は撃ち出されるであろう黄色の鉛球が横殴りの雨となり、マスターガンダムの左腕に降りかかる。 「グッ……ククク! それくらいじゃあなぁーッ!」 ガウルンが小さな曇り声を出す。 メガマシンキャノンの雨から完全に左腕を避ける事は出来ずに、被弾を受けていたためだ。 モビルファイターのモビルトーレスシステムはパイロットの動きを伝達する代わりに、機体が受けた損傷すらも伝えてしまう。 機体の右腕が切断されればパイロットの右腕が千切れ、まるでトマトを握り潰すように頭部を潰されれば、血と脳漿を撒き散らす結果となる。 メガマシンキャノンがマスターガンダムの左腕を何度も打ちつけ、ガウルンの左腕に痺れるような痛みを感じさせた。 しかし、ガウルンはメガマシンキャノンから逃れるために左腕を引き戻そうとはしない。 寧ろそれ以上に腕に勢いをつけて、ガウルンは執拗にF91を追い続ける。 依然続くメガキャノンの雨を強引に突き抜け、遂に左腕がF91の胸部を貫かんと迫った。 「させるか!」 しかし、アムロの表情に焦りの色はない。 アムロはバーニアの全出力をカットし、F91の上昇を停止。 ガクン。と、ほんの一瞬だけF91は糸が切れた操り人形のように、大地へ降下する。 周囲の景色が一気に流れ落ち、アムロは一瞬時間の経過を忘れるかのような心地に陥った。 やがて、直ぐ上を暴力的に通過していく影が一つ。 黒光りを帯びたマスターガンダムの左腕が、大気を揺らす。 瞬間、アムロは見計らったようにバーニアを再び動かし、F91の体勢を整わせる。 「これならどうだ!?」 その時、ガウルンの大声と共にF91に音を立てて迫るものが一つ。 緑色のワイヤーを使い、引き戻されていくマスターガンダムの左腕と相反するように右腕が迫る。 今度は右腕によるディスタントクラッシャーを既に地に降り立ったマスターガンダムは撃ち出していた。 そう。アムロが左腕の猛攻を避ける前から事前に。 体勢はほぼ整えきったが、ビームライフルもメガマシンキャノンの砲塔も構えていない。 ビームシールドでの対抗はあまりにも脆すぎる。 やけにスロー気味に此方に突撃してくる右腕を睨みながら、アムロはF91を動かす。 腰のパックに収納された、一本の筒のようなものを握りしめる。 やはり、その動きにも無駄はない。思わず感嘆のため息がつきそうな滑らかな動作を経て、F91は自機の眼前にそれを翳す。 そしてジェネレータを絞り、出力を一点に収束させ―― 「そんなもの、ビームサーベルでやってみせる!」 一振りの剣の形として開放する。 強振されたビームサーベルの刃が一筋の軌跡を描く。 緑色のエネルギー粒子に塗れたビームサーベルを振るい、マスターガンダムの右腕を切り払う。 一流のエースパイロットだけに許された芸当。 それを難なくやってみせたアムロに、右腕に切り傷が伝達されたガウルンは軽く鼻を鳴らす。 その挙動には、喜びと苛立ちが混在しているようにも見えた。 やがてマスターガンダムは右腕を引き戻し、地に突き刺さっていたヒートアックスを引っこ抜き、逆手に握しめる。 対して、F91は依然ビームライフルを構えながら相手の出方を窺う。 両機、脚を止め、再び沈黙の空気が場を支配し始めた。 「最高だぜ、あんた~。いい、実に良い腕をしている」 「貴様に褒められても嬉しくはないんだがな……」 「へへへ、違いねぇ……」 しかし、その時間は極一瞬なもの。 取るに足らない会話を挟み、F91とマスターガンダムが同時に動く。 F91は腰のマウントパックから白色の大砲を、ビームランチャーを握り締める。 対して、マスターガンダムが桃色のエネルギーを帯びた一枚の布、マスタークロスを取り出し、構えた。 互いに先程使用していた獲物とは違い、更に出力を上げたものを選択。 それは戦闘の段階が次のステージへ進む事を暗に意味していたに違いない。 F91のバーニアと、マスターガンダムの脚が動くのはほぼ同時であった。 戦闘は未だ終わろうとはしない。 ◇ ◆ ◇ 腕を振るい、マスタークロスを左右にブンブンと振り回すマスターガンダムが疾走する。 振り回すだけでなく、時折前方へ向かって勢い良く伸ばすといった攻撃を含ませるマスターガンダム。 エネルギーを布の形とし、武器として使用するマスタークロスは使いようによっては中距離にも対応出来る。 ビームランチャーを担ぎ、距離を取りながらF91はマスタークロスの合間を縫うように砲撃。 しかし、マスターガンダムの高い運動性の前には当たらない。 それどころか、先程アムロがビームサーベルで切り払ったかのようにマスタークロスでビームランチャーの光弾を打ち落とす事もやってのけた。 「どうだ、俺もなかなかの腕前だろう? ん?アムロさんよぉ」 「チイッ! やってくれる!」 反撃といわんばかりにマスターガンダムが放ったマスタークロスを後方へ飛ぶ事でF91は避ける。 依然、F91には目立った損傷は見られない。 まぁ、サイズの大きさの問題、マスターガンダムの性能の高さも相まって一撃も貰うわけにはいかないのだが。 (この男……あのライオンのロボに乗っていたヤツとは違う。 只の戦闘狂じゃない……厄介な敵だな) F91のコクピット内でアムロはガウルンについて考える。 てっきり只の戦闘狂、数時間前に戦ったゴステロのような男と同類だと思っていたガウルン。 しかし、何度か手を合わせたところその認識を変えなければならないとアムロは感じ取った。 此方の先を読むかのように攻撃を行い、決して隙を見せないガウルンの戦闘センス。 その練度は高く、認めないわけにはいかない。 たとえればロンド・ベルのモビルスーツ部隊で自分の補佐を務められるくらいのものだ。 アムロはガウルンの予想以上の戦闘技術に驚き、同時に手強い存在である事も確信する。 だが、ガウルンの誇る技術よりもアムロの注意を引く事があった。 (嫌な感じがする……ニュータイプではない、強化人間でもない。 何か人間の本質的なものが狂っている……この男、ガウルンからはそう感じられる。 そうだ……年齢には似合わない、無邪気さゆえに危険な暴力がこの男の全てを語っている……悪意の塊といったところか!?) 再度振るわれたマスタークロスをやや後方へ下がり、ビームサーベルで切り払いながらアムロは思う。 数十分前から感じていた事。 そう。ガウルンが放つ気配、ニュータイプ同士の共振とは似てもつかないものをアムロは確かに感じていた。 心地よいものではなく暴力的に、神経を逆立たせる。 はっきりいって、酷く不愉快な感覚の正体にアムロは若干の戸惑いがあった。 自分をニュータイプだからといって自惚れるつもりはないが、他の人間より感受性に優れている自覚は多少ある。 そして戦闘を行い、ギレン・ザビやシャア・アズナブよりも危険な思想の香りがガウルンからは窺えた。 いや、寧ろ思想などいったものは感じられず、只純粋な危うさが感じられる。 それゆえにアムロははっきりと確信できた事があった。 この男は敵だ。と、極めて簡潔な事項を。 ビルが立ち並ぶ市街地に逃げこみながら、アムロはビームランチャーを構えた。 いくつかの疑問を抱えながら。 (なんだ? 何がこの男をここまで戦いへ惹き付ける。 この男の醜く膨れ上がった悪意はどうやって、ここまで形を成す事が出来た?) ビームランチャーの引き金を絞り、ビームを飛ばす。 ヒョイ、という擬音がしっくりくるだろう。 ビームを避けたマスターガンダムよりもアムロはガウルンの事へ注意がいった。 ガウルンの事について何一つも知らないアムロ。 それゆえにガウルンが此処までの異常なプレッシャーを与えてくる事に疑問が湧いた。 普通の人間では考えられない。 必要最小限な回避運動しか取らず、エネルギー残量など気にするようすもなく猛攻を仕掛けるマスターガンダムが酷く醜悪な存在にすら見える 同時にそれはこの場に場違いな存在に見えた。 もし、万が一この場で自分を倒せてもこれほどエネルギーを消費してしまえばこの先困るだろう。 補給ポイントに向かう前にエネルギー切れを起こし、移動を取る事すら困難になる。 どうせ、協力関係を結んだ仲間もいないだろうに。 傍から見れば死に急いでいるようにも見えるガウルンの戦闘。 積もりゆくアムロの疑問。 そんな時、アムロの思考に一筋の異なった光が差し込み、彼に別の考えを促した。 (……ガウルンだけじゃない。人はいつまで戦い続けなければならない? このF91は俺達の時代よりも未来の世界で造られた筈なのに……未だにニュータイプ専用機などを造っている……情けない……) ディスタントクラッシャーを上昇する事で避けたF91のコクピットでアムロが愚痴のようなものを口にする。 アムロがシャア率いるネオジオンと戦い、アクシズの地球落下を阻止した、通称“シャアの反乱” アムロが現在搭乗しているF91はその戦乱の約三十年以上後に開発された。 開発者のモニカ・アノー博士がサイコミュを応用した新技術、バイオコンピューターを導入した機体として。 そして、それはニュータイプ用に仕上げられ、事実上彼ら専用機体としての開発コンセプトがあった。 クロスボーン・バンガードがフロンティアⅣに侵攻を行うまでは戦争などなく、ニュータイプの存在も最早伝説上の存在になっていたにも関わらずに。 ニュータイプを再び戦場へ送り込み、彼らが戦場で活躍する姿を期待する大衆の密かな想いはひっそりと続いていたのかもしれない。 ファーストガンダムを操り、シャアの反乱で行方不明になった伝説の存在のように。 そう。今、ガンダムというコードネームを期待されたF91を縦横無尽に操る男。 ニュータイプのアムロ・レイのような存在が無意識的に欲されていたのかもしれない。 しかし、当のアムロはF91に乗せられた期待や時代背景など知る由もない。 そのため、F91のような機体に憎憎しい感情さえも覚えた。 (…………チッ) ビームランチャーを腰のアタッチメントに戻し、今度はビームライフルを構える。 つい、必要以上に力を込めて引き金を引いてしまう。若干狙いがずれてしまったにも関わらずマスターガンダムの左肩をほんの少しだけ焼いた。 しかし、アムロの表情にこれといった喜びや達成感はない。 (人間は変われないものなのか……シャアの愚直なエゴまでさえも見せ付けられながら……何故、いつまでも戦争を続ける。 連邦やネオジオンの兵士がアクシズで見せた人間の光は無駄ではなかった筈だ!) 人間は戦う事は止めない。 頭ではわかっていたが、心のどこかではそんな事はないと否定したい気持ちもある。 だから、自分は今まで完全な組織とはいえないが地球連邦でモビルスーツのパイロットをやった。 地球を食い潰す存在でしかない、地球の重力に引かれた人間を抹殺すると宣言したシャアともやりあった。 シャアが掲げる身勝手なエゴを、ララァを山車にして自分の情けなさを肯定しようとする彼の情けなさは許せなかった。 しかし、アクシズの地球落下の際、一人νガンダムで落下阻止のために、それを押し続けていたアムロは見た。 連邦軍、ネオジオンを問わず全ての人間がアクシズの落下を阻止するために自分の後に続いてくれた事を。 全ての人間が母なる星、地球の危機を救うためにあまりにも脆弱なモビルスーツにその異生命を掛けた事はアムロを激しく揺さぶり、彼の感情を動かした。 人間は変われる。そう確信した筈なのに。 だが、この殺し合いでも人は戦う事は止めずに既に数十人が死亡している。 そして、自分が居た時代の未来の世界ではF91のような機体が今も存在している事実。 これらの事実がアムロを酷く嘆かせ、且つ悲しくもさせた。 まるでシャアの反乱でアクシズを包んだ人間の光が無駄であったような錯覚に陥ってしあったから。 (……しかし、今はこの戦闘に集中する。 嘆いている時じゃない。今はガウルンを倒す、それだけだ!) ビームライフルの照準を再び構え、狙いを絞り撃つ。 一条のビームが宙を走ったと同時に、アムロの意識はマスターガンダム一点に注がれる。 いや、厳密にいえばマスターガンダムを操縦する男に対してだろうか。 背部に備えられたメインノズルの両脇に付属した二門の大型な銃をスライドさせる。 “ヴェスバー”がF91の両脇から伸び、F91の両のマニュピレーターが引き金に手を掛け ―― 「ガウルンッ!」 F91が前方へ加速した。 ◇ ◆ ◇ マスタークロスを振り回しながら、ガウルンは思う。 ASとは違い、ガンダムと呼ばれるらしい自分の機体。 ガンダムというコードネームが何を意味するかはガウルンにとって興味はない。 只、使えるおもちゃか使えないおもちゃかの判断がつけばいい。 自分を楽しませてくれればそれでいいのだ。 (いいねぇ……改めて思うがこのマスターガンダムとやらは面白い。 俺好みの機体だな) そして、現在マスターガンダムと同じ動きを取り続けているガウルンは満足していた パイロットの動きを直に伝達するモビルトーレスシステム。 機体が受けた負荷や損傷すらも感知してくれるこのシステムにガウルンは興奮を覚えていた。 初めてこの機体を支給された時からずっと。 ガウルンは只、このマスターガンダムを動かすだけで喜びに震えていた。 (ASもラムダ・ドライブもいいが、こいつと較べたら実感がわかねぇ。 こっちの方が、手堪えがあるってもんだ) ガウルンがこの殺し合いが開催される前に乗っていた機体。 アマルガムによって開発されたラムダ・ドライバを標準装備したAS、通称コダールタイプ。 決して低くはない性能、そして圧倒的なラムダ・ドライバの性能にガウルンは満足していた。 イメージを増幅させ、障壁や弾丸といった物理的な力に変換するラムダ・ドライバには圧倒的な力がある。 ガウルンはその装置を使い、幾度もなく敵対組織のASを破壊し、爽快な心地を覚えてきた。 しかし、流石のASやラムダ・ドライバでも操縦者の動きを完全には伝達する事は出来ない。 だが、マスターガンダムはそれをいとも簡単にやってのけ、ガウルンに充分すぎる程の満足感を与えていた。 自分が右腕を動かせば同じように動かし、全力で走れば直ぐにその動きに追従する。 まさに自分の分身ともいうべき存在で、自分が戦場に居る事をASに搭乗した時よりも感じさせてくれる。 未だASも実戦投入されず、歩兵として戦場を駆け巡ったあの躍動感。 敵兵を銃で、ナイフで殺し、生暖かい血液を身体全身に受け止めたあの充実感。 AS乗りになって、ほんの少しだけ忘れていたあの戦場のリアルな感覚が鮮明に蘇る。 ガウルンは心底、マスターガンダムで戦場を駆け巡る事が出来た自分の幸運さを噛み締めていた。 そして、何もマスターガンダムだけに満足しているわけでもない。 ‘(それにしても、やってくれるなぁこの男は……。 これだけ撃ちまくってるのにてーんで当たりはしねぇ、あのカシムよりも技術的にも精神的にも歯ごたえがある……) F91のビームライフルを肩に受け、焼けるような痛みが伴うがガウルンは不敵に笑う。 アムロの技量にガウルンは満足していた。 自分の連撃にも一度も碌な損傷を貰う事はなく、あげくの果てに反撃まで仕掛けてくるアムロの戦闘センス。 それははっきりいって高い。 きっとどこかの軍組織に所属、もしくは凄腕の傭兵なのだろう。 それも決して冷静さを失わないところを見ると一部隊を任される程の隊長に違いない。 相手としては申し分なく、殺しがいはありすぎる。 しかし、一つだけガウルンには不満な事があった。 (だが……なにやってる? なんでお前さんはあんな奴らとつるむ。 なんでその力をもっと有意義に使わねぇ、お前もあいつと同じか……? だったら親切な俺が目を覚ましてやらないとなぁ……) それはアムロが他の参加者と同行し、積極的に戦闘を行わない事について。 折角のこのデスゲームで何故楽しもうとはしないのだろう。 アムロ程の力があれば優勝する事もそう難しくはないだろうに。 ガウルンはその事について疑問に思う。 只、マスターガンダムの内部でにんやりと下品な笑いを浮かばせながら。 そして、決めた。乗る気がないのなら自分がその気にさせてやろうと。 そう。数時間前、目の前で大切なものを潰してやった一人の青年の時のように。 まぁ、自分との戦いで生き残る事が出来た場合の話ではあるが。 撃ち出していたディスタントクラッシャーを引き戻し、ガウルンがそんな事を考えていた時。 大きな声が聞こえた。 『ガウルンッ!』 二門の細長い大砲のようなものを抱え、突撃するF91が見えた。 思わずガウルンの口元は緩む。 嬉しい。ようやくやる気になったのだろうか。本当に嬉しい。 まるで付き合って間近の恋人が自分の胸に飛び込んでくるようだ。 ならば、自分はどうやってその愛しい人の言葉に答えようか。 それは至極簡単な事―― 「どうした!? アムロッ!」 同じように大きな声で返してやればいい。 但し、両腕を構え、いつでも拳をお見舞いできるという手土産もあるが。 ◇ ◆ ◇ 直撃を狙うためにF91はヴェスバーを構えながら前方へ高速飛行。 マスターガンダムがそれを待ち構えるように、腰を落とす。 やがて、幾重の円上のターゲットロックにマスターガンダムを捕え、F91がヴェスバーを射った。 「何故、こんな馬鹿げたコトをする! こんな戦いには何も意味がないコトがわからないとでもいうのか!?」 「あぁ~?何かと思えばくだらねぇなぁ。 くだらねぇくだらねぇ……本当に勿体無いぜ、アムロさんよぉッ!!」 「なんのコトだ!?」 ヴェスバーの砲撃を避け、マスターガンダムが跳ぶ。 右腕に握られたビームナイフが鋭く光った。 「もっと楽しもうぜ、折角良い腕を持っているんだ。 俺のようにパーッとやっちまえば気分も晴れる!なぁに、一度やっちまえば直ぐにわかるさ」 「世迷言を! 貴様のその歪んだ悪意の正体はなんだ! 何故、そこまで貴様を駆り立てる!?」 「けっ、何が駆り立てるかって? そんなの考えたコトもねぇな~。 まぁ、アリンコを潰すようなもんさ。特にこれといった感想もないな、こりゃ」 「貴様ッ!!」 此方に向かって飛び込むF91にビームナイフを突きつける。 だが、F91は減速せずに、クルクルと機体を回転させながらそのままナイフを避け、マスターガンダムの上空を駆け抜けた。 だが、そのまま戦域を離脱する事は当然ない。 数秒の間を置き、F91は反転。 再びマスターガンダムと向き直り、ヴェスバーを構える。 「おいおい、怒るなよ。 というかあんたはハイスクールの先生じゃあるまいし、俺に説教などお門違いだろう?」 「ならば、俺は貴様を此処で止めてみせる。貴様を此処で逃せば犠牲者が―― 「あぁ、ざんね~ん。それはもう遅いわ」 「なんだと!?」 「だって、俺はもう三人程は殺したからな。ジジィとガキ、それと年頃の割と良い姉ちゃんを一人ずつな」 「ッ!?」 「傑作だったぜ? その姉ちゃんの恋人みてぇな奴の目の前で踏み潰してやったさ。 こう、プチ!って感じになぁ~。あいつの顔は良い表情をしていた、もうサイコーだったぜ」 「うおおおおぉぉぉぉッ!!」 ヴェスバーが咆哮を上げ、目が眩むような眩い黄緑色の光を飛ばす。 両方のヴェスバーを時間差で発射。 一発目を避けたマスターガンダムだが二発目は避ける事は叶わず、マスタークロスで防御。 ビームライフルとは較べものにならない威力が生み出す衝撃に、マスターガンダムはやや後方へ脚を引いた。 F91がそれを見計らったように再度、加速する。 ビームサーベルの柄を右のマニュピレーターに持たせ、ビームの刃を強振させながら。 只、前方へ飛ぶ。 「クハハハハハハハ! だから、お前さんの怒りを買う覚えはないといっただろうに。 まぁ、その三人の中にあんたの知り合いが居たらまぁ別な話かもしれんがな。 その時は悪かった、心の底から謝罪させてもらうさ」 「黙れ! お前と話しをするだけでも、もうたくさんだ……。 貴様は此処で落ちてもらうぞ、ガウルンッ!!」 「ああ、それは是非お願いさせてもらうぜ……アムロ・レイッ!!」 F91の動きに合わせるかのように、マスターガンダムが左の手刀を繰り出す。 ニアクラッシャーと呼ばれる、マスターガンダムの打撃がF91に突き進む。 「甘いッ!」 しかし、F91はそれを寸前で避ける。 F91の機体は左へ半回転を行いながら、マスターガンダムの突き出された左腕の下へ潜り込むように飛んだ。 やがて、機体の重心を戻し、ビームサーベルを滑らせる。 マスターガンダムの左腰の外部装甲をビームサーベルが焼き尽くし、火花が散った。 同時にF91はメガマシンキャノンさえも掃射しており、吸い込まれるように弾丸が左腰の損傷箇所へ飛び込む。 「クッ……ぬぅぅぅぅッ!」 思わず、苦悶の声を上げるガウルン。 ぱっくりと裂けた傷跡内で小規模な爆発が起きた。 幸いコクピット内までには届かず、操縦系統に目立った影響はない。 モビルトーレスシステムにより、ガウルンは恐らく実際に左腰から痛みを感じている事だろう。 その事が関係してか、マスターガンダムの動きが少し緩慢なものとなる。 アムロはその動きを決定的な好機と感じ取った。 マスターガンダムの左腰が起こした爆発から逃れるために一旦、距離を離す。 そのために加速した勢いは殺さず、一旦マスターガンダムを通り抜け、数百メートルの距離を取りながら背後へ。 再び両のヴェスバーを構えながら、アムロはマスターガンダムに向かってF91を飛ばした。 「落ちろッ!」 ダメージがあるといえどもガウルン程の腕前では容易に避けられる可能性もある。 ならば、可能な限り接近し、ヴェスバーを叩き込む。 そのため、アムロは最大戦速でF91を飛ばした。 マスターガンダムが振り返る前よりも、速く距離を詰めるために。 急激に近寄る二機の距離。マスターガンダムは未だこちらに振り返らない。 これならいける。 そう、思い始めた時、アムロは見た。マスターガンダムが背中を向けながら、右腕を左脇の下に忍ばせ、此方へ向けているのを。 一体、何を意味するのか。アムロがそう疑いを持った瞬間―― 「バーン」 ガウルンの陽気な声と共に、一筋の大きな閃光が走った。 「なんだとッ!?」 紫色の光弾がいきなりマスターガンダムの右の手から放たれ、アムロは驚きの声を上げる。 見るからに格闘戦に特化し、更に今まで純粋な射撃兵器を使ってこなかった事による思い込み。 そう。マスターガンダムには何も射撃兵器はないと無意識的にアムロは結論付けていた。 そうでなければわざわざ腕を飛ばす事や、投擲を行う事もないだろうから。 急遽、攻撃を取りやめ、回避行動に移る。いや、近づきすぎた。間に合わない。 仕方なしに左のビームシールドによる防御を選択。 ビーム兵器に絶大な効果を齎す、円盤状の光の盾が光弾を抑えた。 今の攻撃は一体何か。そんな疑問を感じられずにいられないアムロはマスターガンダムの様子を観察。 その時、アムロは目を疑った。 何故なら更に多くの数の光弾が雨のように降り注いでいたから。 勿論、マスターガンダムの両の掌から。 「そらそらそらそらそらーッ!」 両腕を振り、紫色の光弾を、“ダークネスショット”をガウルンは連射する。 モビルファイターは射撃兵器を使う機体は居るが、大抵はパイロットのイメージの力によって使用される。 シャイニングショットやダークネスショットはその典型的な例であり、パイロットの気を凝縮させ、打ち出す攻撃。 勿論、本来は一流のガンダムファイターにしか扱えない武器だが、殺し合いの促進を図るために、その使用は簡易化されている。 そして、何よりガウルンにとってダークネスショットの使用はとても容易いものだった。 そう。この殺し合いが行われる前からイメージを力にするといった、ブラックテクノロジーの産物、ラムダ・ドライバを使いこなしていたガウルンにとっては。 コダールの指から見えない衝撃波を撃ち出す指鉄砲と似たような要領でそれなりに応用は利いた。 依然、ガウルンは無数のダークネスショットを撃ち出し続ける。 「ッ!?」 ビームシールドを構えながら離脱をしていたF91。 だが、再び一発のダークネスショットを真正面からビームシールドで受け止めてしまい、一旦動きが止まった。 そしてタイミングを見計らったようにガウルンが更にダークネスショットを叩き込む。 幾らエースパイロットでもあるアムロに全ての事が出来るわけではない。 追撃のダークネスショットを一発、二発とビームシールドで受け――やがて爆発を起こした。 限界をきたしたビームシールドを一旦切り、咄嗟にビームランチャーを投げ、光弾の盾にする その爆発の衝撃に煽られ、F91は荒れ果てた市街地へ不時着を余儀なくされた。 体勢を崩し、派手にコンクリートの大地へ倒れこむF91をマスターガンダムが満足げに眺める。 不気味な輝きを両のカメラアイから光らせながら。 →人の意思(2)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/368.html
moving go on ◆XrXin1oFz6 緊張だけが大空を支配する。 アクシズ落としの三十年後に生まれたニュータイプ専用マシン、F-91。 アルクトス王家に代々受け継がれ残されていた黒い守護神、騎士GEAR凰牙。 無限心臓レース・アルカーナを内蔵し、限界を知らぬ力を巨躯に秘めるフォルテギガス。 ダブル・リバイバルを経て成長したオーガニック・マシン、ネリーブレン。 ここまで生き残ったことは伊達でも酔狂でもなく、一騎当千とまでいかずとも強力な武力をもつ者である証明。 その四人が共闘するという形をとっているのに、そのパイロットたちの誰からも黒い闇がぬぐわれることはない。 それもそうだろう。 今から向かう先にあるのは、この殺し合いの諸悪の根源。 ノイ・レジセイアそのものなのだから。 「シャギアさん、大丈夫なのか?」 「ああ、心配をかけたようだ。今は、問題ない」 フォルテギガスのメインパイロットシート――ガナドゥールのコクピット――で、 シャギアは、ともにフォルテギガスに乗る甲児に返事を返す。 「無理しなくたっていいんだぜ? 俺だってこう見えても元の世界じゃ知る人がいないくらいのロボット乗りだったんだ」 大仰なガッツポーズを取る甲児。 そうやって自分を励ましてくれているのだろうか。 嬉しくも思うが、心苦しくも思う。 今シャギアが戦場に立つ理由は極めて個人的な理由だ。 同じ敵を撃破するためといった、信頼や友愛からほど遠い感情で動いている。 先に向かい敵に接触した少年も、横にならぶ男もニュータイプらしい。 ならば、ニュータイプに何ができるかを見届けてやろう。 どうせ、何もできないに決まっている。 今も仲間を見捨て、こちらに合流しようとしているらしい。 元の世界で、アベル・バウアーの戦いを傍観した時に近い、冷たい感覚。 ここに来る前はほぼ常にそうしてきたはずだが、それが随分と遠く感じるのは感傷なのか。 フォルテギガスのスペックを再度認識する。 たしかに、最大の長所である頑強さはある程度減ってしまっているが、かなりの高性能機であることに違いはない。 そうそう簡単に落ちるものではない。合体した状態のこの機は、ガドル・ヴァイクランに匹敵する。 ガドル・ヴァイクラン。その言葉でオルバを思い出し、小さく頭を振った。 もし、今フォルテギガスに乗るのが甲児ではなくオルバならば。 比べること自体、愚かしいと分かっていても、それを振り切ることができない。 もう、シャギアの精神感応(テレパス)はどこにも通じることはないのだ。 片方を失い、断線したまま二度と使われない。 もはや、カテゴリーFとしての能力もない。まさしく無能力者だ。 「あれは……カミーユ!?」 ニュータイプの男の声で、シャギアは意識をメインカメラに戻した。 そこに映るのは、鋭角的なデザインの白い機体、サイバスターだった。 以前はブンドルが乗っていたが、今はニュータイプが乗っているらしい。 自分たちの前まで来て、サイバスターは停止する。 無言のままのその様子だと、大方ブンドルは死んだのだろう。 切り捨てたことをごまかしでもしたいのか、とコクピットの中一人軽蔑の視線を投げる。 「……ブンドルは?」 腫物を触るようなロジャー・スミスの問いかけに、カミーユと呼ばれたニュータイプは答えた。 「また俺は……ベガさんと同じことを……っ!」 つっかえつっかえな台詞。 その様子に心が冷えていくのをシャギアは感じる。 相手がニュータイプというだけでここまで冷淡になれることを思い出す。 少しずつ余分なものが落ち、正しく『シャギア・フロスト』が帰ってくることを感じた。 そうだ、これが私なのだ。 自分の存在を再認識し、目的を再認識し、 流れる憤怒のマグマは少しずつ冷え、何よりも硬い石となる。 甲児やロジャーが何かカミーユをなだめるようなことを言っていたが、シャギアは聞いてもいなかった。 ニュータイプの戯言には一切興味がない。気にする必要もない。 ただ、ニュータイプという存在がちっぽけなものであるという事実だけあれば十分だ。 「来たようだ」 シャギアは、レーダーに映った影を全員に報告する。 一斉に全員の体がこわばったのが、シャギアにはわずかだが見えた。 超・超高度から何かが来る。 夜空を照らすスラスターの光を背に、蒼い孤狼が夜を切り裂き、大地へ落下する。 熟れ過ぎた果実が大地に落ち、炸裂するのと同じように、熟成された悪意が大地へ降臨する。 ニュータイプ能力などないシャギアでも、生物の本能として全身が泡立つような恐怖を感じた。 遠雷の如き音と共に、足もとにあるビルを砕き抜きそれは現れた。 音速をはるかに超過する落下速度により生まれた衝撃波が周囲のビルすら積み木の城のように吹き飛んで行く。 コロッセオのように丸く、そして蟻地獄のように大きくすり鉢型に陥没した中心に、それはいた。 「フ………フハハハハハッッハハハハハハハハッ、ハハハハハハハハハハハッッッ!!」 世界の全てをあざけ笑う、圧倒的な声量の嘲笑が、離れたビルの壁面を打ち反響する。 40m近い、半大型機並みのサイズ。 常軌を逸しているとしか思えないほど肥大化しバランスを欠いた右腕。 銃口という花を無理に纏めて乗せたような左腕。 両肩にあるのは破壊力だけを追求しそれ以外の全てを投げ捨てた破壊の鉄球詰め合わせ。 天も突かんと伸びた額の角。 そして、胸の中心で輝く深紅の宝球。 それは、人に在らざる者の駆る異形の魔獣。狂獣。悪竜。それら全て。 ――――アインストアイゼン・ナハト・リーゼ !! 相手の気配に、呑まれそうになるのを、必死にシャギアは押さえる。 今必要なのは怒りだけだ。細部は違う。だが、オルバが最期に命と引き換えに送った念は忘れない。 その姿に映っていたのは、間違いなく目の前の存在。 シャギアは、覚えている。あのオルバがこと切れる寸前に送った言葉を。 ―――助けて、兄さん そう、助けてとオルバは最期に思ったのだ。 自分が、テニアを潰しておくため二分すると言ったせいで。 助けることも死に目を見ることもできず、オルバは死んだのだ。 自分の、せいで。 ならば、兄としてできることは奴を殺すことだけだ。 それをせめてもの手向けとしよう。 「選別する……正解に最も近い………欠片……人間……」 先ほどまでの狂った笑いと打って変わって、 何か抽象的な言葉を呟くキョウスケ――の姿をしたノイ・レジセイア。 「これもまた……近い……しかし……違う……」 その手に握られているモノを前に突き出す。 それが何か拡大し、認識した瞬間、シャギアも流石に息をのむ。 蒼い孤狼がその手に握っていたものは、一見すると何か鉄屑のようにも見える。 しかし、違う。格納庫で一度見ただけなので細部まで分からないが、あの可変機だ。 見る影もない姿に変わり果てた姿。 下半身を失い、両腕をなくしたそれの頭を、壊れた人形の頭でも掴むように無造作に握っていた。 蒼い孤狼が手を放す。重力に従い地に伏す可変機。 もう、ぴくりともしない壊れ切ったそれを、蒼い孤狼は――― 「故に……破壊」 踏み躙った。 砕け散る可変機。しかしそれでもなお執拗に踏み付け、細かく砕く。 そして、また思い出したように狂った調子で笑い続ける男。 「ハハハハハ……脆い……あの紛い物の人間と同じで……脆い。紛い物……処分」 シャギアは、全神経を目の前の蒼い孤狼に集中していたからこそ、気付けた。 『紛い物、処分』と言った時、確かに僅かだが自分を見たことを。 なら、『あの』紛い物の人間とは誰か。誰の事を指しているのか。 理解した瞬間、怒りが沸騰した。 そうか、お前も我々を認めないのか。 なら、我らの世界にお前は必要ない。 元より、逃がすつもりもない。 「中ぅぅぅぅぅ尉ィィィィィィ!!」 ニュータイプが、叫ぶまま蒼い孤狼に突撃する。 その様子では、周りなどまるで見えていないのだろう。 「まずい! 全員カミーユを援護しろ!」 もう一人のニュータイプの指示が飛ぶ。 日頃なら誰が従うものかと思ったかもしれないが、今一時は優先するべきことがある。 目の前の怪物を倒すためなら、力を合わせるしかない。 弟、オルバのため……今だけは屈辱を飲む! 「シャギアさん!」 「わかっている!」 フォルテギガスのフェイスオープンシステムが起動。 全身の排熱システムから蒸気が噴き出した。 並みの機動兵器のモノとは比べ物にならないほどの超大出力のビーム砲が腹部から打ち出される。 F-91は脇下からせり出したヴェスバーを、ブレンパワードはソードエクステンションを。 凰牙は、サイバスターの後を追って蒼い孤狼に迫る。 「選別……選定……破壊……!」 蒼い孤狼が、一気に飛び上がる。 降り注ぐ弾幕から逃げるのではなく、その中に飛び込む無謀にしか思えない行動。 しかし、蒼い孤狼にぶつかった瞬間ビームは爆ぜ、拡散していく。 対ビーム用のコーティングをしていることを気付き、シャギアは唸る。 飛び上がる勢いのまま、サイバスターと蒼い孤狼が激突する。 無敵巨人であるフォルテギガスを上回るほど肥大化した右腕の杭打ち機が、サイバスターに繰り出された。 サイバスターも、ディスカッターで迎撃する。 剣戟の閃光が、夜空に散った。 虚空で停止する両者。杭打ち機は、身を逸らしたサイバスターの動きのため空を切っている。 対して、サイバスターの剣は正確に巨大な肩と首の間に切り込まれていた。 が、その剣はまったく食い込んでいない。 信じられないほど強固な装甲が、比較的もろい部分だというのに攻撃をはじき返している。 続いて、凰牙の回転するタービンアームが、蒼い孤狼の顔に叩きつけられた。 しかし、蒼い孤狼から漏れる笑いは止まらない。獲物を前にした獣の口のように、両肩が開く。 サイバスターと凰牙が身をかげした次の瞬間、大量のベアリング弾が空間にまき散らされた。 「甲児!」 「わかってらあ!」 距離をつめて打撃攻撃を繰り出さねばあの強固な対ビーム防壁を突破できない。 甲児も同じ気持ちだったのだろう。フォルテギガスを突貫させると同時、フィガを射出してくれた。 掴んだフィガを、ビームハンマーへ。 棘のついた巨大な輝く球体が、ビームワイヤーで誘導させられ蒼い孤狼へ向けられる。 蒼い孤狼が、自分の背面にあるウェポンラックにおさめられた武器を引き抜く。 「な……!?」 そこにあるのは、ビームハンマーと同じ形をしたに鈍色をした鉄球だった。 違いは、明確な実体を持つことくらいで、外見はほぼ同一。 大ぶりな動きから繰り出されるガンダムハンマーが、こちらが放ったビームハンマーに叩き落とされる。 エネルギーが質量とぶつかり合ったことにより、ジュウと音を立てるハンマー。 お互いが攻撃を引き寄せるのまで同時。 一旦フォルテギガスが引くのに合わせて、横から巨大な焔を纏った大鳥が突撃していく。 業火の中に僅かに見えるのはサイバスター。自分の全長の三倍以上の炎を纏い、蒼い孤狼に進む。 対して、蒼い孤狼の行動はシンプルなものだった。蟻地獄の中心で、腰を落とし正面から腕を広げる。 よもや、とシャギアもこれから考えることを予想し、ありないと首を振る。 そのありえないことを蒼い孤狼は現実に変える。 激突するアカシックバスター。それを――正面から受け止めた。 後方へ一気に吹き飛ばされるかに見えたが、全開に解放されたスラスターがみるみる内に不死鳥の勢いをそぐ。 完全に停止したサイバードをそのまま鯖降りにするべく、締め付ける蒼い孤狼。 そこへF-91がヴェスバーを速射するが、蒼い孤狼は気にも介さない。 騎士凰牙のハイキックが、蒼い孤狼の右肩へ。 同時に、サイズを利用し懐に入ったブレンも指先にソードエクステンションを叩きつける。 その僅かな緩みの隙に変形して強引に離脱するサイバスター。 三機が一斉に離れると同時、大上段からシャギアは巨大な剣に変えたフィガで蒼い孤狼を両断しようと試みる。 生半可な攻撃では、まったく意味がない。ならば、最強最大の攻撃ならば――! ライアットバスターが、すり鉢を左右に割る。砂煙をあげながらも、落ちていく剣が蒼い孤狼とぶつかった。 蒼い孤狼の角が輝き、一瞬受け止めた。 だが、それは本当に一瞬。 そのまま角をへし折ると、その大剣は、蒼い孤狼に直撃する。 「無限の心臓……! 異界の熱量……これも……!」 今までの嘲笑と平坦な声とは違う。僅かに興奮の混じった声だった。 蒼い孤狼の張るビームコーティングが発生した瞬間、剣と蒼い孤狼に少しだが空間ができた。 即座に剣でまた埋められるはずの僅かな空間と、それによって生まれる時間。 しかし、その時間を持って蒼い孤狼は血道をこじ開ける。 蒼い孤狼の肩が開く。 その中に見えるのは、無数のベアリング弾。 まずい、と引かせようとするが判断が遅れた。このままでは直撃する。 そう思い、せめて防御しようと腕を出そうとしたときだ。 出力全開でフォルテギガスが真上にすっ飛んだ。 「甲児か!?」 「おう! もしもの時は任せて、シャギアさんは攻め続けてくれ!」 攻め続けることしか考えてなかった自分と違い、甲児は失敗することを考えて自分のフォローに回ってくれていたようだ。 お調子者だと思っていたが、これはこれでもしかしたら気が利く性格かもしれない。 出力にものを言わせ、さらにベアリング弾を射出した勢いのまま蒼い孤狼が後ろに跳び退るのが見えた。 コンクリートを砕き、砂煙をあげながら獣のように四肢を大地につけ減速する。 再び集合し、ビルの上に立つ五機を、蒼い孤狼の赤い瞳が見つめていた。 「あれが、主催者……!?」 ロジャーの言葉に、ニュータイプの男が答えた。 「間違いない、ざらつきはあるがノイ・レジセイアそのものだ……!」 「中尉は……かつてアインストと戦って、勝ったと言っていました。 一番接点があり、ノイ・レジセイアにとって『確実』な体だったんでしょう……」 だから、こんなこと許されてたまるものかよ、とニュータイプ――カミーユの震えた声。 そうだ、許されてはならない。許せるはずもない。 操られていようがなんであろうが、あの男が弟を殺したことは紛いもない事実。 ならば、弟と同じ運命を奴にも突きつけなければならない。 「だけどよ、アムロさん! 倒すったってどうするんだよ!?」 甲児の言葉ももっともだ。 並大抵の攻撃では、とてもではないがあれには通用しない。 それこそ、通用するのは―― 「空間突破のための、切り札。それの直撃、か」 つまり、 F-91のゴッドフィンガー。 凰牙のファイナルアタック。 サイバスターのコスモノヴァ。 フォルテギガスのライアットバスター。 この四つのうち、一つを完全完璧な形で直撃させなければ到底勝ち目はない。 「だが、どうやって直撃させる!?」 「それは……」 それ以上の言葉は許されない。 蒼い孤狼に、こちらを休ませるつもりはないのだろう。 その左手につけられた5連チェーンガンがマシンガン並みの勢いで吐き出された。 飛びのいたビルが、あっという間に穴だらけになり崩れていく。 シャギアだけでない。 誰もが行き詰まりを感じつつあった。 最強の必殺技を直撃させる。 言うのは簡単だし、コミックや、アニメ……それこそゲキガンガーではよく見る展開だ。 しかし、あの凶暴すぎる孤狼の首を縛り付ける鎖はなく、足を止める罠もない。 その状況で、目標を達成するのがいかに困難なことか。 数の利があり、疲労が先ほどまでの休憩で抜けているためしばらく持つが、いったいどこまで持つか。 戦闘とは、極度の緊張を強いるもので、そう長くはない。 決めなければ、じりじりと押し切られる。 だが、状況を打開する方法は見えてこない。 ◆ ■ ◆ 完全を砕けば、破片は無数の不完全となる。 無限を果てしなく切り分ければ、それは有限となる。 完全、無限からは不完全、有限は生まれえる。 これは真実。 無限を複製し重ねれば無限となる。 永遠はどこまで続こうと永遠は変わらない。 完全、無限から完全、無限は生まれえる。 これも真実。 混沌の中から完全なる生命は生まれる。 混沌たる我から完全なる生命は生まれる。 それは真実か? ―――否 数多の宇宙――その中における我。 その結果は全て失敗。 成功は無。 ―――何故、完全な生命になれなかった…… ―――何故、完全な生命を生み出せなかった…… 完全な生命を生み出すには、我自身が完全に至らねばならない。 我が完全な生命になるのに必要なものは何か。 数多くの世界で我を凌駕する力を振るう、人間。 我を超える――我より完全に近い? 『この世界』において我は人間を凌駕した。 その違いは―――― 生命は――― 完全は――― 人間は――― →moving go on(2)
https://w.atwiki.jp/tekiyakusaikyou/pages/2188.html
【作品名】スーパーロボット大戦X 【ジャンル】SRPG 【世界観】 異世界アルワース(宇宙が存在するので単一宇宙並み)の他に 平和の世界、戦争の世界、革命の世界、バディ・コンプレックスの世界、不思議の海のナディアの世界、 アウラの世界(クロスアンジュにおけるもうひとつの宇宙)、 主人公の居た世界(我々と同じ巨大ロボが存在しない現代世界)があり、 戦争の世界は時間軸が違う別の平行宇宙(クロスボーンガンダムの世界)が確認されている(単一宇宙×9)。 また真のアルゼナル(エンブリヲの本拠地であり宇宙が存在している)と呼ばれる空間があり、 これを基点とし無数のエンブリヲが可能性として存在していることから無数の宇宙が存在している(多元宇宙+単一宇宙)。 その他異世界ラ・ギアスやバンストン・ウェル(原典通りだと共に宇宙は存在しない)や ホープスが所有する時間と空間が隔絶された書庫、 アンチスパイラルが存在する超螺旋宇宙(認識宇宙、隔絶宇宙とも呼称、通常の宇宙は違うらしい)があり、 次元移動でも脱出不可能な因果の果てと呼ばれる場所が存在する。(+5α) そして多元宇宙迷宮(または因果の果てと呼ばれる)という場所が存在する、 少なくとも30マスの広さ(1マスの大きさについては下記参照)がある(単一宇宙×30)。 さらにそれとは別にアンチスパイラルが支配する多元宇宙が存在する。(多元宇宙)。 よって全体で多元宇宙×2+単一宇宙×40+5αから構築されている。 スパロボXのスキル「精神耐性」 スパロボXにおいて「パイロットへの精神負荷が大きく、使いこなせないと暴走を起こす事も多々ある」と図鑑にある ウイングガンダムゼロに搭載された「ゼロシステム」を問題なく使いこなすガンダムWのパイロット(精神耐性×1) そのガンダムWの一部パイロットを行動不能にするXの特殊効果「行動不能」(精神攻撃×2) その行動不能の効果を無効化する事ができるXのスキル「精神耐性」(精神耐性×2) そのXの精神耐性を修得した甲児達が飛ばされた瞬間何も感じなくなり意識が衰弱する「因果の果て」(精神攻撃×3) カップリングシステム ヴァリアンサーに搭載されているシステム。 バディを組んだ場合、本来なら思考の差異から完全に一致した動きは出来ないが 情報を1ナノ秒単位で「未来」に伝達することで無理矢理「現在」と同調させ互いの能力を飛躍的に向上させる。 物語終盤におけるイベントでは互いの成長と一部にサイコミュを用いたことで思考の差異が無くなったが 「未来」に送られるべき情報自体はズレが無くなったことで「現在」に送られるようなり本来の事象と1ナノ秒ずれが生じる。 結果、一種のタイムパラドックスが連続的に発生し 常にナノ秒単位で互いの機体ごと「過去」送るという「現在」への修正が行われるようになった。 劇中では観測点(0秒時点)からは時間停止のように見えるが 時間経過がない(0秒の)まま事象の上書きが行えるようになったと解釈されており、 実際に観測点から数百万回を越える事象の上書きを行ったことで時間経過が無いまま(0秒の状態で)超巨大要塞の破壊に成功した。 よってこのイベントにおけるカップリングシステム起動時の行動は0秒行動である。 【参考テンプレ】 【名前】ヒナ・リャザンwithカルラ 【素早さ】上記のイベントにおいてカップリングシステム発動中の ルクシオンネクスト及びブラディオンネクストに随伴できるため0秒行動可能 1マスの大きさについて 最終盤で超螺旋宇宙においてグランゼボーマが変態した 超グランゼボーマ(サイズ∞=単一宇宙の数十倍+その6~7倍はあるドリル(全長単一宇宙×120))が最大の大きさである。 この大きさを1マスで収めているため1マスの大きさは単一宇宙×120とする。 【参考テンプレ2】 【名前】シモンwith超天元突破グレンラガン 【大きさ】描写ではサイズが∞(単一宇宙)のグランゼボーマの100倍はあるので単一宇宙×100ほどか 【攻撃力】超天元突破ギガドリルブレイク:自身をドリルに変えて突撃する 射程は最低でも自身の3倍にあたる単一宇宙×300、攻撃後の余波で自身の大きさを軽く超える爆発が起こる 【名前】マジンガーZERO(天元突破) 【属性】天元突破を果たした終焉の魔神 【大きさ】超螺旋宇宙においてサイズ∞のため最低でも単一宇宙並みのマジンガーZみたいなロボット 【攻撃力】全ての攻撃がエネルギー体である天元突破グレンラガンに通用するため物理無効を無効に出来る ブレストファイヤー:超天元突破ギガドリルブレイク以上の威力の広範囲攻撃、範囲は4マスあるので単一宇宙×480 強制転移:対象を因果の果てに飛ばすことが出来る 因果の果ては通常帰還不能な空間であり飛ばされた対象が何も感じることも無く行動不能になったことから 帰還不能な空間に放逐+虚無感による行動不能(精神攻撃?)が働いている 天元突破前に使用したが形状変化などは行われていないためこの状態でも使用できると思われる 上記により精神攻撃×3 射程範囲は自分を中心の2マス分なので単一宇宙×240 【防御力】超天元突破ギガドリルブレイクを5、6発受けても余裕で戦闘続行可能 次元攻撃に巻き込まれてもダメージを受けるだけで戦闘続行可能 【素早さ】ヒナ・リャザンと互角以上に戦闘できるので0秒行動 【特殊能力】宇宙戦闘可能、宇宙とは違う法則が働く超螺旋宇宙、因果の果てでも戦闘可能 超螺旋宇宙に忽然と現れたため次元移動可能、最大範囲は世界観並みか 因果律操作装置(装備アイテム):因果律を操作可能になるらしい 作中の効果は70%以上で命中を100%に、30%以下で命中を0%にする 自分の大きさを大きく超える範囲攻撃でも同様の効果がある 精神耐性:上記により精神耐性×2 【長所】0秒行動を得たクソコテ 【短所】中盤あたりまで体のいい破壊神扱い 【役柄】中盤から最終盤にかけての主人公勢の敵 原作で言うところ「マジンガーこそ最強」をこじらせている最中 【戦法】強制転移で追放、駄目ならブレストファイヤー 参戦:vol.102 488-490 修正:vol.102 506 vol.113 185-186 193-194 vol.113 0784格無しさん 2023/12/27(水) 19 06 30.61ID 4p4Re40O マジンガーZERO(スパロボX)再考察 大きさが単一宇宙になり全体的なスペックが上がった 上方修正なので元居た位置から上がる ○ミシェル・アレックス 追放勝ち △E.N.D 支配空間を突破できず0秒分け ○スネーカー 追放勝ち ○集積者 追放勝ち △ビッグ・ヴィヌス 近づかないから世界改変消滅は大丈夫0秒分け △大銀河超一郎 追放とヒロイズム相打ち ○沙羅双樹 追放勝ち こいつ簡易テンプレで(単一宇宙×9+α)×18発を単一宇宙破壊×162扱いにしてない? △ナスティーク 全能無効で倒せない0秒分け ○ダークマター 追放勝ち ○岩倉lain 追放勝ち ○ギュウジン丸 お互い追放された後次元移動で戻り勝ち ×エンデ 宇宙消滅負け ○源祖 ブレストファイヤー勝ち △アシュタンガ級~マルドゥーク 大き過ぎて倒せない0秒分け ○モーメントの光 追放勝ち ○ダークネス 追放勝ち ×零龍 即死×2負け △ニュクス~宇宙蝉海老 大き過ぎて倒せない0秒分け ×大黒穴 常時重力負け 零龍>マジンガーZERO(スパロボX)>ダークネス (省略) vol.106 821格無しさん2021/02/26(金) 19 57 18.36ID pNJE0Z6n マジンガーZORO(スパロボX)再考察 ○ ドロッセルマイヤー 時間停止は効かない、追放勝ち ○ ギド=キング・グッダー=宇ヶ原惟依 追放勝ち ○ 綾波レイ・No.カトル 流石に世界移動は不可能だろう、追放勝ち ○ ロンギヌスの槍 追放勝ち △ ミカエル 決め手なし △ イシュタル 同上 × セフィロト 内包は魂攻撃分不利、離した場合は0秒分けの複合負け ○ アスカエヴァ統合体 流石に世界移動は不可能だろう、追放勝ち ○ シャイマール 大きさが常人じゃないので初手のままでは消えないだろう、追放勝ち △ バライッソ 0秒分け ○ 《女帝》 強制転移からの追放勝ち × ペルフェクティオ 宇宙崩壊負け △ THE HORROR 非存在には効かないが小さすぎて知覚出来ないだろう (超次元の壁) ○ 《世界》 追放勝ち △ 《伯爵》 相打ち △ シュライク 大きさ的に負けは無い ○ 鈴仙・優曇華院・イナバ 追放勝ち △ E.N.D 支配空間は無理 △ スネーカー 0秒分け △ 集積者 0秒行動分け × ビッグ・ヴィヌス 無理 △ 大銀河超一郎 相打ち △ ナスティーク 0秒分け △ ダークマター 0秒分け △ 岩倉lain 0秒行動分け ○ 伝説の正体 ギュウジン丸 追放されても普通に帰ってくる、強制転移からの追放勝ち × エンデ スペック負け × ウリエルwith暗黒体 スペック負け △ 源祖 0秒行動分け △ アシュタンガ級 0秒行動分け △ ダークネス>モーメントの光 0秒行動分け × バルガディアス 破壊負け × 零龍 即死負け ここから先も規模的に勝てない戦いが続くのでここまで E.N.D=マジンガーZERO(スパロボX)>鈴仙・優曇華院・イナバ vol.104 892 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2020/04/10(金) 18 56 32.92 ID wMP7l5iP [1/3] 考察乙 887の修正案ではミーちゃんの凍結辺りは耐えるようになるかもだが バスタービームの設定がゲーム内で言及されていないなら採用できないからそのままで大丈夫だろう 参戦枠の関係上マジンガーZERO(スパロボX)は4人目以降かね 無効を無効に~はエクストラアクションのダイレクトアタック(特殊スキル・特殊能力・サイズ差を無視した攻撃が可能)か (前の場所 スネーカー>E.N.D=マジンガーZERO(スパロボX)>鈴仙・優曇華院・イナバ) vol.102 494格無しさん2019/03/19(火) 22 33 41.61ID m9haZYFu 497 498 マジンガーZERO(スパロボX)考察 10万光年の大きさで0秒行動から2400万光年範囲強制転移+存在消滅 超・常時能力から上がる ○ ドロッセルマイヤー 相手は範囲不足、強制転移からの消滅勝ち ○ No.96 ブラックミスト 強制転移からの消滅勝ち △ 破界の王ガイオウ 次元断層を突破できない ○ ギド 強制転移勝ち ○ 綾波レイ・No.カトル 強制転移からの消滅勝ち ○ ロンギヌスの槍 強制転移からの消滅勝ち △ ミカエル 逃げられると厳しい、向こうも決め手がない △ イシュタル 同上 △ 刻の神サターン 反射されても普通に戻ってくるが決め手が無い ○ ダークライ 強制転移からの消滅勝ち ○ アスカエヴァ統合体 強制転移からの消滅勝ち ○ シャイマール 大きさが常人じゃないので初手のままでは消えないだろう、強制転移からの消滅勝ち ○ 《女帝》 強制転移からの消滅勝ち ○ ニュクス 大きさ的に即死は効かない、普通に殴ってでも勝てる × ペルフェクティオ 宇宙崩壊負け × THE HORROR 非存在には効かない、狂って負け 超次元も一応見る ○ 《世界》 消滅は効かなくても強制転移勝ち △ 《伯爵》 相打ち △ シュライク 大きさ的に負けは無い ○ 鈴仙・優曇華院・イナバ 強制転移勝ち △ E.N.D 支配空間は無理 △ スネーカー 0秒分け △ 粟生野叫 侵食は突破できない △ 集積者 0秒行動分け × ビッグ・ヴィヌス 無理 △ ヘリオス 実質単一宇宙全能防御は突破できない × 霧隠才蔵 攻撃するために支配空間に入る必要がある △ ダークマター 倒しきれず分け △ ワイズマン 0秒行動分け △ 手塚治虫 0秒行動分け △ 岩倉lain 0秒行動分け △ ヨグ=ソトース(デモンベイン漫画版) 0秒行動分け ○ 伝説の正体 ギュウジン丸 追放されても普通に帰ってくる、強制転移からの消滅勝ち × ウリエルwith暗黒体 スペック負け △ 高槻菜乃 0秒行動分け × 地獄の帝王 スペック負け とりあえずここまで ペルフェクティオ>マジンガーZERO(スパロボX)>ニュクス 主人公スレの那智武流みたく千日手に世界改変分有利にしたらもうちょいいけるが採用してもいいか? 497格無しさん2019/03/23(土) 22 32 26.07ID I0F4qKo8 494 あれ具体的な内容や範囲書いてないから 無理っぽくない? 因果律操るだけならグレンラガンも出来たし 498格無しさん2019/03/26(火) 03 13 59.22ID wnt7xXCs 488-490 >終盤以降のカップリングシステム起動時の行動は0秒行動 ここは青葉が「もう一回やれって言われても出来ねーよ」的な事を言ってたような なのでイベント時以外でも常時ナノ秒云々の効果が発動しているわけではないかと 存在消滅は作中でZEROによって因果の果てに飛ばされた甲児も鉄也も ZEROに飛ばされたっていうゼウスも完全には消えてないし 別の事情で因果の果てに飛ばされたエクスクロスメンバーも消えていないので 一瞬で存在消滅できるわけではないから所要時間の明記が必要 あとオールキャンセラーと精神耐性って精神攻撃面では効果がほぼ重複してるから 「実質的に精神耐性×3」にはならなくないか? 494 スパロボXの因果律操作装置って 70%以上の命中率は必中に、70%以上の回避率は絶対回避という効果だから 千日手で有利になるような効果じゃないと思う 499格無しさん2019/03/26(火) 16 04 59.04ID rPg90NCi つかその効果じゃクソの役にも立たないやん 503格無しさん2019/03/27(水) 19 44 07.63ID EbXEWaZr 497-498 >因果律操作装置 削除かネタ文章に変更する >精神耐性絡み オールキャンセラーでは「脱力」による気力100以下に下げるを防げず 精神耐性では「脱力」による気力100以下に下げるを防げるので別口で計算した 問題あるようなら削除する >0秒行動がらみ 44話「あの空に還る未来で」で要塞破壊する前後の描写が (ここから0秒)青葉とディオがカップリングシステム発動→ヒナとホープスが0秒時点を観測→要塞破壊完了 →ヒナも一緒異次元ワープ→別ルート「真実の黙示録」にてエンブリオ君や他のエクスクロスメンバーと普通に会話 →戻ってきて時が動き出す(ここまで0秒) という流れでヒナ自身はカップリングシステム発動してるか分からない 且つ気力低下を使ってカップリングシステムが発動しないように再現も可能なため ヒナが自力で0秒行動してるとした これがダメなら主人公スレから素早さ取るけどどうですかね? >存在消滅 存在消滅の所要時間がが0秒ではないので能力の説明を因果の果てに転移させるのみに変更する 504格無しさん2019/03/27(水) 20 49 36.49ID DP5WWMkC 503 脱力は少し考えたけど言葉にできなかったのでまあいいや ああ、ヒナってあの時カップリングシステム発動してるか不明なのか まあ少なくとも「『終盤以降の』カップリングシステム起動時の~」ではないよね なので終盤云々を「終盤イベント時の」にすればいいんじゃないか 存在消滅はあれ因果の果てに飛ばされた甲児と鉄也が なんらかの行動をする間もなく何も感じなくなって 外部からの干渉がなければ行動不能になってたから精神攻撃としては有効だと思うぞ 511格無しさん2019/03/30(土) 17 29 57.87ID n455d4KN マジンガーZERO(スパロボX)再考察 10万光年の大きさで0秒行動から2400万光年範囲帰還不能な強制転移+精神攻撃に変更 基本的に消滅勝ちが追放勝ちになる程度、一応超常時能力から ○ ドロッセルマイヤー 時間停止は効かない、追放勝ち ○ No.96 ブラックミスト 追放勝ち △ 破界の王ガイオウ 次元断層を突破できない ○ ギド 追放勝ち ○ 綾波レイ・No.カトル 流石に世界移動は不可能だろう、追放勝ち ○ ロンギヌスの槍 追放勝ち △ ミカエル 逃げられると厳しい、向こうも決め手がない △ イシュタル 同上 △ 刻の神サターン 反射されても普通に戻ってくるが決め手が無い ○ ダークライ 追放勝ち ○ アスカエヴァ統合体 流石に世界移動は不可能だろう、追放勝ち ○ シャイマール 大きさが常人じゃないので初手のままでは消えないだろう、追放勝ち ○ 《女帝》 強制転移からの追放勝ち △ ニュクス 月は壊せても概念は無理、分け × ペルフェクティオ 宇宙崩壊負け △ THE HORROR 非存在には効かないが小さすぎて知覚出来ないだろう 超次元上 ○ 《世界》 追放勝ち △ 《伯爵》 相打ち △ シュライク 大きさ的に負けは無い ○ 鈴仙・優曇華院・イナバ 追放勝ち △ E.N.D 支配空間は無理 △ スネーカー 0秒分け △ 粟生野叫 侵食は突破できない △ 集積者 0秒行動分け × ビッグ・ヴィヌス 無理 △ ヘリオス 実質単一宇宙全能防御は突破できない × 霧隠才蔵 攻撃するために支配空間に入る必要がある △ ダークマター 倒しきれず分け △ ワイズマン 0秒行動分け △ 手塚治虫 0秒行動分け △ 岩倉lain 0秒行動分け △ ヨグ=ソトース(デモンベイン漫画版) 0秒行動分け ○ 伝説の正体 ギュウジン丸 追放されても普通に帰ってくる、強制転移からの消滅勝ち × ウリエルwith暗黒体 スペック負け △ 高槻菜乃 0秒行動分け × 地獄の帝王 スペック負け △ 耶雲 0秒行動わけ △ 悪魔 0秒行動分け △ 源祖 0秒行動分け △ アシュタンガ級 0秒行動分け ここから先も規模的に勝てない戦いが続くのでここまで E.N.D=マジンガーZERO(スパロボX)>鈴仙・優曇華院・イナバ 512格無しさん2019/03/30(土) 17 32 18.96ID n455d4KN 間違えた ○ 伝説の正体 ギュウジン丸 追放されても普通に帰ってくる、追放勝ち
https://w.atwiki.jp/mousouvs/pages/875.html
ソウルゲイン(スパロボA) コスト:560 耐久力:700 盾:無 変形:無 抜刀:無 拳と肘のみで戦う漢ロボ。遠距離でも戦えなくはないがやはり接近戦主体でいきたい所 メイン:青龍鱗 弾数3 リロード5.4秒/1発 掌からエネルギー波を放つ。BRと同等の性質を持っているが対ビームバリアで防がれない 弾数、威力どちらも心もとないのであくまで牽制にとどめるべし 威力90 サブ:玄武剛弾 いわゆるロケットパンチ。一発目は左腕、二発目は右腕を発射する。1HITでダウン 左腕を撃つと格闘が弱体化し、右腕も撃つと腕が戻るまで一切の攻撃ができなくなる 基本的に左腕のみ使っていくようにしたい 威力105 N格闘:パンチ 左→右→左→右の4連コンビネーション。左腕を射出していると右腕の3連撃になる 4段目を前格闘にするとアッパーになり、相手がダウン回避をすると更に追撃可能 威力70・70・70・85(前格派生70) 左腕射出時80・80・85 前格闘:白虎咬 拳にオーラを纏い多段HITのパンチを放つ 判定が強く大概の格闘は潰せるが、発生が遅いのが難点 威力50×5 横格闘:ブレード 肘のブレードで二回斬りつける。左腕射出時はダウン属性の1段技になる 発生が早く、主力技になる 威力85・100(左腕射出時150) 特殊格闘:ブレード ジャンプしながらブレードで斬り上げる対空技 判定が強く発生もなかなか早い 威力175 BD格闘:舞朱雀 相手に急接近し、ブレードで両断する技 一瞬だけ隙ができるが出れば伸び、誘導共に良く強力な格闘である ただしステップで簡単に避けられるのでこれ一辺倒にならないように 威力140